すき

 好きになんてなりたくなかった。好きになったらきっと、いつかの別れが辛くなるから。
 だから好きになんてされたくなかった。でも、そう言ってもきみは手を離してくれなかった。それどころか満足そうに笑うんだ。一緒のところに落ちてきてくれた、って。
 酷いやつだ。お前は私を置いていくんだ。私はそう言った。でも、きみは、きみのほうが酷いやつだ、と言う。きみは俺を忘れてしまうだろう、って言う。
 忘れてなんかやるもんか。私が嫌だと言ってもお前が手を離さなかったんだ。だったら私が手放す理由なんてないだろう。
 そう言ったら、きみはまた笑うんだ。
 それは俺の台詞だ、って。

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