カミノコトバ

 金融機関にとって、お金は商品であり、他人からの預かりものである。だから、きちんと管理しなければいけないし、どんな書類よりも重みのあるものだ。誤った扱い方をしたり、故意でもそうでなくてもミスをしたりなんかすれば、場合によっては社会的な罰を受けることになる。
――「より責任を持って仕事をしてください」
 そう言って勘定元締めの担当の先輩は、私にお金の鍵を渡したのを覚えている。
 手許の現金は合ってた。小切手も金額を合わせた。あとは端末で入力して、それが一致と出れば終わり。
 きちんと確認したのに、慣れていないからか怖くなる。大丈夫だと思いたくても、大丈夫だと思えない。でも、これをしないと終わらない。
――本当に、大丈夫?
 端末の送信ボタンに手をかける。
――「きみなら、大丈夫さ」
 どこからか声がした。
 心の奥深く。いつも私を助けてくれる、あの神様の声。
――「ちゃあんと合わせたんだろう? 何度も数字を見ただろう? 慎重なきみなら、大丈夫だ」
 その声に背を押されるように、私はボタンを指先で叩いた。

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