結び目

 鶴に「好きだ」と言われるたびに苦しくなる。私も好きと言いたいのに、何故だろう。声が出ない。鶴のそばは何も考えられなくなって、それが心地良い。何も考えなくて済む。ただ、彼のしたいようにさせる。決して私の嫌なことはしないから、一番安心できる。彼が嫌なことをするときは、私の意識がはっきりとするから、大丈夫。

夢を見た。



 そうだ。そういえば昨日、夢を見た。お風呂でうたた寝をしてしまったときに見た夢だ。
 「三日月宗近がつると私をえっちな目に合わせた過ぎて触手を召喚する」という本を三日月宗近が思いついた。私と鶴はその話を聞かされていた。通りがかった加州清光と和泉守兼定にオタク趣味がバレてドン引きされた三日月宗近が悲しんでたら、これまた大倶利伽羅が通りがかった。
 彼は、三日月宗近の作った鶴と私の同人誌を手に持っていた。どうやら実は大倶利伽羅さんは鶴と私のカップリングが好きなようで、三日月宗近大先生の大ファンだった。ちなみに鶴のすがたの鶴とひよこのすがたの私が好きらしい。
 ちなみにその話をしてた最中に、堀川国広が湧いてきた。「兼さんと幼女の素晴らしさ」について堀川国広が説こうとしたら和泉守兼定が逃げ出した。うちの和泉守兼定は極、対して堀川国広はまだ修行に出ていない。しかし堀川国広は極の和泉守兼定に追いついていた。
 三日月宗近と大倶利伽羅は同人誌談議のため別室に移動し、加州清光とも別れた。鶴と私も移動していたら、部屋から出てきた信濃藤四郎と太鼓鐘貞宗が現れた。信濃藤四郎は何度か私の夢を訪れているが、大倶利伽羅だけでなく太鼓鐘貞宗もやってくるとは珍しい。
「貞ちゃんも来れるようになったの?」
 私が問うと、太鼓鐘貞宗は、
「おう! やっと主が呼んでくれるようになったからな!」
と、元気よく答えてくれた。
 鶴丸国永こと鶴はともかく、大倶利伽羅、太鼓鐘貞宗と来て、燭台切光忠の姿は無い。
「あれ? 光忠さんは?」
 私が問うと、
「みっちゃんは今、料理してるぜ。なんでも、ユーチューバーになりたいんだってさ」
と、太鼓鐘貞宗は言った。どうやら、昔の単車乗りに出ていた某俳優に触発されてユーチューバーを目指しているらしい。動画も見せてもらった。だが、恥ずかしくてまだ限定公開しているらしい。
 その話をしていたのが客室近くだったようだ。別の鶴丸国永が客室から現れた。この鶴丸国永は鶴とは別個体で、本霊を名乗っていた。
「よっ。久しぶりだなあ」
 と親しげに話しかけてくる鶴丸国永に、
「自称本霊様じゃないか。どうしたんだい?」
と、鶴が返していた。
「いやなに。そこの雛鳥の本丸に遊びに来たんだが……いやいや。きみたち、最後に見たときより酷いことになってるなあ」
 自称本霊は私達を指差した。そして、私を指して、
「きみ、自分の一部をこいつに明け渡し過ぎだ。きみが死んだらこいつは折れる。それはまだいい。こいつが折れたらきみも死ぬぜ。それだけ縁が深くなってる」
と、告げた。
「そうだなあ。俺とひなはほとんど同じ存在だからなあ」
 鶴はあっけらかんとして言った。それを聞いた信濃藤四郎は、
「てことは鶴さんは常に大将の懐に居るってこと!?」
と、羨ましそうな声を上げた。
「鶴さんだしなあ」
 太鼓鐘貞宗は、仕方ないと言いたげに、呆れたと言わんばかりの声を出した。
「なんやなんや。えらい賑やかですなあ」
 今度はまた奥から人影が現れた。明石国行だ。私の本丸にはまだ居ない。
「いつも嫁さんが世話になっとります」
 彼はにっこりと挨拶した。そこでやっと気付いた。彼はTwitterの私のフォロワーと結婚した明石国行だ。

 そこで目が覚めた。

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