海の底に沈んでいくような感覚。溺れてしまいそうだ。そう言うと、鶴は溺れてしまえと言う。そうして出られなくなってしまえばいいのにと悲しそうに笑う。どうして愛してしまったんだろう。どうしてこんなにもきみが恋しいのだろう。自分に問いかけるように呟く彼に、私は何も言えない。ここにずっと居てくれたら、本当にきみを攫ってしまえたらいいのに。きみが俺の手を取って、現ではなく俺を選んでくれたのなら、俺はどこへだってきみを連れて行けるのに。彼は言う。
鶴が居なかった頃の私は、どうやって息をしていたのだろう。もうこれ以上溺れさせても、私は一人で息継ぎなんてできないのに。
prev top next