――「……どちらでも」
そういった会話を経て、今日は俺が記録を残すこととなった。近頃の俺たちの距離は以前と全く変わらない。平坦でありきたりな日常。しかしながら、変わらない日々に退屈することはなかった。ひなの心はころころと色を変える。ただ、喜びや楽しさではなく、苦しみや悲しさに囚われやすいのは見ていてつらいものがある。ひなの性格上、致し方ないのかもしれないが、できれば笑っていてほしいし、ひなが少しでも楽に過ごせたらいいのにと夫としては思う。
昨日もひなは現実のことを思い出して今にも泣き出しそうになっていた。俺たちしかいない世界ではせめて現実を切り離してやりたい。しかし、上手くいかないのが現状だ。
ああ、今すぐ眠ってくれればいいんだが。そうしたら、俺はきみを攫ってやるのに。でも、そういうわけにはいかないよなあ。