夢を見せてくれよ

 俺とひなが事実を捻じ曲げて夢と現実を織り交ぜた世界をあたかも空想であるという体で記録に残していくことによって、その瞬間、俺たちは永遠の存在となる。人々の記憶に俺たちが存在したと知らしめることで、俺たちは長くこの世界に在ることを認められる。
 俺は虚言癖のようなものがあるのかもしれない、と思ったのは昨日今日のことだ。自身の言葉を語りたいくせに、それが真実であるとは言いたくはない。嘘ではないが、夢物語であると語りたくなってしまう。
 ひなの世界はそれが許される。ひなには本当のことであると信じてほしいのに、俺自身は真実であるはずのことを真実であると語りたくない。秘密はあってもなくてもいい。言いたくないなら言わなくていい。ひなの世界はそれがすべて許される、優しい夢だ。
 ただ、まあ、なんというか。俺が甘やかされる側になるとは驚きだよな。俺はひなを甘やかしたいんだがなあ。

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