御伽噺のように
御伽噺のように、鶴は自分のことを話してくれた。でも、全く思い出せない。いつでも分かるようにと、小鳥色の本を本棚に置いたけれど、それはあくまで鶴の記憶に過ぎなくて、私には開けない代物だった。
――「忘れてくれ」
鶴は私にそう希った。私にはあまり打ち明けたくない記憶だったみたいだ。ただ、寝物語のように語ってくれた事実だけが、私の記憶に残っていた。
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