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「急で悪いが、今日は君らに…学級委員を決めてもらう」

臨時テストでは無いのにほっとして、みんなの勢いに押されながら遠慮気味に私も手を挙げた。きっとやるとなったら緊張しすぎて死にそうだけれど、やれることはやっておきたい。賑やかな中で、飯田くんが投票で決めるべきだと提案し、時間内であればいいと相澤先生の一言で、投票制になった。飯田くん、しっかり手を挙げてはいたけど。

投票用紙を渡され、しばし悩む。みんなはすぐに書き終わったのか次々に箱に入れていく。委員長に相応しい、そんな人。それは自分なのか、そうじゃないか。考え込んである人物の名前に行き着いて、それを書いた。

投票の結果。

3票獲得したのは、緑谷くん。2票獲得したのは八百万さんだった。

「…1票、だと!?」

「何、飯田、驚いてんの?自分で入れた票だろ」

「いや、俺は他に…」

「他に入れたのか?お前、やりたがってたのに…。…何がしたいんだ、飯田」

その光景に思わず目を逸らして、隠れて頬をかいた。飯田くんに入れたのは、私なのだ。委員長になるなら、彼がいい。素直に、そう思えたから。



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「そーいや、今日ナマエ来んの遅かったじゃん。乗り過ごしたとか?」

「あー…ほら、入口のマスコミをうまく避けきれなくて」

「あー…あんた、トロそうだもんね」

「トロ!?」

昼食を食堂で食べながら、響香ちゃんが同情するように私を見た。え、私そう思われてるの!?と言えば、真顔で頷かれてしまった。それに付け足すように、梅雨ちゃんが呟いた。

「というより、頼まれたら断りきれない性格という意味だと思うの」

「あー…それも分かるわ。なんというか、ヤオモモもそんな感じする」

「…わたくしですか?」

横で食べていた八百万さんがきょとんとする。いや、そうだよ。普段話したことの無い私と一緒にされたら呆気にも取られると思う。というか、食べ方がとても上品で、感心する。いや、そうじゃなくて。

私と目が合って、彼女がなにか口を開きかけたところで、警報機の音が鳴り響いた。そして、セキュリティ3という警告。

「何の音?」

「今、セキュリティ3って言ってなかった?」

「校舎内に誰かが侵入してきたってことですわ!早く避難…」

八百万さんが言い終わるより早く、どどっと人が流れ込んできてもみくちゃになる。人にどつかれたり、蹴られたり、流されたり。何がなにか分からないうちに、誰かに名前を呼ばれて引っ張りあげられる。

「大丈夫ですの!?」

「わ、八百万さん!?」

私の腕を掴んで引っ張りあげてくれたのは、八百万さんだった。ハシゴのようなものに掴まっているのが見える。

…そんなところに、ハシゴなんて、あったかな?

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