04

「うーん…見れば見るほどデカい」

そんな独り言を思わず口から飛び出した。一際大きな建物が目に飛び込んできて、余計に緊張してきた気がする。いや、初日だし、楽しみな部分も大きいけれど。深呼吸して、踏み出した。



______



一際大きなというか、大きすぎる扉に手をかけそおっと開ける。1年A組の教室に頭を突っ込むと、一斉に私の方へ目が向けられて、思わず小さく頭を下げて自分の席を探した。

あ、あった。あの席だ。長身の男の子の脇を通り過ぎようとしたところで、とんと軽く体が当たる。

「わ、ごめ…」

「おっわ、アンタ、あの時の…!」

「あ、テープの」

「テープかよ」

試験の時のテープの人だ。試験当日は、疲れすぎてお礼も言えていなかったことを思い出す。初めまして、ではないけれど、お互い軽く自己紹介をした。

「試験の時は、ありがとう」

「ま、お互いにってことで。合格出来て良かったじゃん」

私の紙に埋もれさせてしまったのだけれど、気にすんなと彼、瀬呂くんは笑った。自分の席に腰をかけたところで、前が騒がしいことに気づく。

喧嘩…なわけないよね、初日だし!

と思ったのもつかの間、真面目そうな人といかにも不良の人の喧騒が響く。というか、一方的に不良っぽい彼がつっかかっているように見えなくもない。というか、顔が凶悪犯のよう。道案内とか頼みたくないタイプだ。

「初日から喧嘩してんのかな?」

「いや、一方的に絡んでるだけじゃね?」

「よく知らないのに悪いんだけど、…苦手だなぁ、ああいうの」

「彼、全然ヒーローっぽくないわよね」

突然、現れた声に肩が揺れる。私、思いついたこととか口に出ちゃうのと彼女は真顔で言った。

「えっと…はじめまして?」

「私、蛙吹梅雨というの。梅雨ちゃんと呼んで。お友達になりましょう」

「つ、梅雨ちゃん…?」

「なあに?刷印ちゃん」

試しにあだ名を呼んでみたら、彼女は嬉しそうにしていた。予鈴がなって、梅雨ちゃんは自分の席に戻っていく。不思議な子だけど、話しやすそうで良かった。ほっと息をつく。

学校生活は、ここから、だ。

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