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『……』
ベッドの上で彼女のことを考えていると
ヴヴヴヴ……
スマホが振動する。
『んー、誰だろ…』
画面には
"美雨"
の文字。
『……もしもし?どうしたの?』
「…ねぇ、今すぐっ……家に来て?」
『え?なんで?』
「大事なッ……話があるの…」
なんだか様子がおかしい。
なにかに怯えてるような……
『…うん……?わかった。』
「待ってる、ね……」
ブチッと
電話は突然切れた。
……どうしたんだろう。
『……』
prrrrrr……
不思議になって、かけ直すと
「……もしもし?」
3コール目で出てくれた。
『…なにか様子が変だったから。』
「かけ直してくれなくてもよかったのに」
『ねぇ、どうしたの?』
「大事な話があるって言ってるじゃない」
『……』
「今変な事考えたでしょ。わかるんだからね。
私には超能力があるんだから」
『超能力って、何言ってんの?(笑)』
「ほら、この前話したじゃない。私には超能力があるって。」
『……あぁ、そうだったね。わかった、すぐ行くよ』
考えてること読み取れるのって、超能力だっけ……?
______
____
家に来たはいいものの……
『…どうしよう』
チャイムを押せずにそこを行ったり来たりしていると
"…………どちら様?"
インターホンから男の人の声が。
『えっ……と、その、』
"…あ、小山くん?"
……聞こえてきたのは美雨の声。
『……はい、そう…です』
"ごめんね、中に入って。"
このまま……素直に入って、大丈夫なのかな
"小山くんだったのか。ごめんね"
その優しい口調でさっきの男の人はお兄さんだと理解する。
『……大丈夫、なのかな…』
ガチャ、
ドアを開けると
目の前には美雨の姿。
『……美雨?』
「小山くん、いらっしゃい。」
『話って何?』
「えっと、まず部屋に上がってくれませんか?」
『……ねぇ、お兄さんは?』
「貴久なら部屋に戻りました」
『ねぇ、どうしたの』
「何言ってるんですか?小山くん」
『…………』
だって、
いつもは俺のことを慶ちゃんって呼ぶし
この前はお兄さんのことをお兄ちゃんって呼んでたし
そもそも彼女は俺に敬語なんて使わない。
『なにが、あったの……』
「お願い………ん、……て…」
『……え?』
「……慶ちゃん、逃げて」
ふと聞こえた 小さな声に気付いた時にはもう
手遅れだった
「お前が小山慶一郎か」
後ろで、低い男の人の声が聞こえて
____ガンッ
頭に痛みを感じ、俺は意識を失った。
______
____
『……っ、いった…』
頭の痛みに
目を覚ますと
薄暗い部屋に俺はいて。
あたりを見回すと
ものすごい数のパソコンや
ライトで照らされた何台かのベッド
……部屋の隅には人の形をした…………ロボット。
部屋の真ん中に俺はいるけど
何にも拘束されてない。
…椅子とかにくくりつけられるかと思ったのに
「目が覚めたか、小山慶一郎」
殴られる前に後ろから聞こえたのと同じ声。
『……だれ、』
暗闇にいるから、顔ははっきりと見えないけれど
黒髪の白衣を着た男。
「そんなに怖がらなくても大丈夫大丈夫」
『…はぁ、?』
「俺はお前を殺すつもりないからさ」
さっきから何の話をしてるんだ?
『……美雨はどこですか』
「んぁ?そいつならそこで寝てるよ」
指差すのは部屋の隅の方にある小さなベッド。
確かに彼女が寝転がっている。
『大事な話ってなんなんですか』
「あぁ、そうそう。」
「お前……秘密を知ったな?」
黒髪の男の目は、
鋭くて
『ひ、みつって何を……』
「……どうりでデータがないわけだ。10分だけの。」
『何の話を…』
「お前達……えっと、手越祐也 とその彼女 松田愛 小山慶一郎 その3人が家に遊びに来た時のデータをこの前確認したんだ。
手越祐也と松田愛が帰ってから お前とこいつらの、3人になった時10分間だけデータが抜けてたんだよ。おかしいとは思ったけど
いらないと思ったデータは削除できるし、今までもこんなことあったから何も感じなかった」
データ……って記憶…みたいな?
「お前にアンドロイドだと打ち明けてたんだな」
正直に言っていいの、か
「あれほど言うなと……」
どんどん顔が赤くなってゆく
黒髪の男。
『……えっ、と』
男は手で顔を覆い、
指の隙間から目を出し、こちらを睨みながら
「お前には死んでもらう。これからの計画がバレるとダメだからな」
『……は?死んでもらうって何言って…』
ってパソコンや機械をカチャカチャ操作して
ベッドで寝ていたお兄さんが立ち上がった。
いつもとは違う
攻撃的な雰囲気が。
「……やれ」
その言葉でお兄さんが俺に向かって歩き出す
ゆっくりではあるものの
一歩一歩の威圧感がすごくて
『ちょ、っと……』
ジリジリと
「……」
近づいてくる
「コロス……」
目の前までお兄さんが来た時
「早くしろ!」
そう怒鳴る男
お兄さんの手が首に回ってきて
グッと力が入る
『……っ!……うぐ…』
どんどん首は絞まって
呼吸が出来なくなって
少しずつ遠くなる意識。
はぁ、こんなところでこんな殺され方するのか
なんて考えていた時
「ちょっと待て」
その言葉でお兄さんの手が離れ
俺は床に倒れ込む
『……かはっ、…はぁ……』
「一番幸せな死に方にしてやるよ」
ニヤリと笑った男は
パソコンを操作し始める
すっと起き上がったのは
『も、しかして……』
「こいつに殺されるなら本望だろ?」
ふははっ、と悪魔のように笑い
美雨の肩にぽん、と手を置く。
「あいつを」
「……コヤマケイイチロウ のことを」
男の言葉の後に続くのは、紛れもなく彼女の言葉で。
「殺せ」
「…………コロス…」
____美雨はゆっくりと、こちらを向いた。
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