加藤シゲアキ





私は走る
彼の元へ。





「……はぁ、はぁっ…」




あれ、彼の家ってこんなに遠かったっけ?

あ、あそこにパン屋さんができてる



半年来なかっただけでこんなに変わるんだ




「…どうか、いますように……!」




ピンポーン___



……ガチャ




『……え、…〇〇?』

「シゲ、シゲっ…!!」


私は泣きながら彼に飛びついた。


「シゲ…会いたかった。シゲっ、シゲ……」


彼がそこにいると確認するように、
何度も何度も

名前を呼ぶ。


『なんで、来たんだよ……』


耳元で聞こえた、少し涙を含んだ声。


「祐子が、教えてくれた……」

『祐子が…?』

「祐子に、感謝しなきゃっ…」

『もう、会えないかと思ってた』

「……ねぇ、どうして?どうして別れたりなんか…」

『俺、許嫁がいるんだ』

「いい、なずけ……」

『親に無理矢理決められて、それでっ…「そんなのどーでもいい!」

『……えっ』

「私は……ずっとずっと愛してきたんだよ、シゲを」

『……俺もだよ』

「今更っ、許嫁なんかに渡すわけ…」

『〇〇……』

「……シゲぇ…、ずっとずっと、愛してた。
別れてからもずっとっ……」

『お前彼氏いるくせに』


シゲのその言葉で、慶ちゃんの姿が頭に浮かぶ。


「そ、れはっ……」

『……ま、あいつ俺の友達なんだよね。
俺達のこと、きっと応援してくれるよ。』

「…………は?」

『〇〇と付き合ってるって知ったのは最近だし、小山にならお前を任せられると思ったんだけど』


ニヤリと微笑んだかと思えば


『やっぱり、俺のこと好きだったんだ?』

「……あぁ好きですよ、悪いですか」


開き直ると


『はぁぁあ……』


私の肩に頭を乗せて


『もっと早くこうしてればよかった』

「許嫁のこと、どうしよう……」

『そういえば写真が届いてたんだけどまだ見てねぇんだよな』


机の上からそれを持ってきて、開くと

"……え?"
二人の声が重なった。


「こ、れって」


そこに写っていたのは、私の親友の祐子で。


「えええ?!」


その時、ケータイが振動して祐子からメールが届いた。

"実はねっ、私にも彼がいるの{emj_ip_0102}{emj_ip_0189}{emj_ip_0092}
私の親に言って申し訳ないけどこちらからお断りさせて頂くことになりました。だから婚約の件はなしってことで{emj_ip_0108}
二人共私に感謝してよ{emj_ip_0177}"




「こんなことって、あるの……」


力が抜け、膝から崩れ落ちる


何もかもがうまく行き過ぎてて、不安になってきた。


『…まぁ、いいじゃん』

「なにがいいのよ……!」

『だって俺は』


"〇〇を愛してる。ずっとずっとこれからも。"


どちらからともなく、近付いて

二人の唇が重なり、私達は一つになれた。




「私もシゲを愛してる」




あの時、彼を選んでよかった。
心の底から、そう思えた。



Fin










もしも、彼を選んでなかったら……?

#小山慶一郎の場合































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