第4話
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午後からはハルも加わり、また延々と同じ作業が続く。さっきからやたらと詩悠さんはハルのことをからかっては遊んでいる。いつもは穏やかなハルも詩悠さんにばかりはキツイ態度をとるものだから、俺を挟んでなかなかに痛い空気が流れていた。
「晴久は彼女とかいないの?ねぇせっちゃん」
「え、あ」
「しゃべってないで手動かせよ」
明らかに詩悠さんにあたりの強いハルの顔は怒りでぴくぴくしている。こんなハルを始めて見た時は本当にびっくりしておどおどしてしまった記憶がある。
「俺が高校生の頃なんて、彼女の二人や三人いたけどなぁ」
「お前と一緒にすんな」
「おーごめんね?そりゃ一緒にできないか。お前まだ童貞?」
「詩悠!」
紙の束で詩悠さんの頭をひっぱたいたハルは大袈裟に溜息をついた。詩悠さんはきゃらきゃらと笑っている。俺はどうしたらいいのか分からず、ここは空気になろうと無言で静かに作業を進めた。
「でももったいないと思わない?せっちゃん。晴久だって顔はいいんだしな、頭が固いだけで」
人がせっかく兄弟仲に首突っ込まずにいたら、詩悠さんはさっそく俺に話をふってくる。
「……もてるよ、ハル」
「あ、だよなぁ」
にやにやと笑う詩悠さんは訳あり気に頷く。ハルはむすっとした顔で俺を見てきた。そんな顔をされても。俺はとにかく自分に飛び火されないようにと心の中で必死に祈った。
「せっちんのがなんだかんだ晴久よりも手馴れてそうだよな」
「いないよ俺も、彼女なんて」
フラグ回収か、と心の内で呟く。
「ああ、せっちゃんはあれか。特定の子は作らないタイプ?まあね、ぶっちゃけセフレが一番楽だし楽しいよね」
「詩悠!」
横からハルがまた怒ったように口を挟む。詩悠さんはそんなハルを見てケラケラと笑っている。なんだかんだで弟が可愛いのなら、そんなねちっこい可愛がり方じゃなくてもっと分かりやすく可愛がってあげればいいのに、と思う。
ハルは相変わらず心底ウザいとでも言うように目元をひくひくさせている。
「まあ怒んなよ、だいたい晴久の話じゃないだろ。お前に今必要なのは色恋沙汰じゃなくて勉強だな」
「……」
受験生にそんなことを言ってしまえば黙らざるを得ない。ハルは勉強と言われた途端俯いてしまった。唇をきゅっと結んでいる。部活をしていた時より伸びた髪が邪魔をして表情はうかがえなかった。
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