優しい兄弟





「さぁ、どうぞこちらへ…教主様は忙しい身でなかなか時間がとれないのですが…あなた方は運がいい」

見るからに怪しい男が教会へ案内してくれる、取りあえずエドは令美の事は置いておいて教会の方を片付けるよう
「わるいね、なるべく長話はしないようにするから」
「えぇ…すぐに終わらせましょう…このようにっ‼︎」

(ガンッ‼︎)
男が隠し持っていた銃がアルの右目…鎧で守られてないとこを狙って発砲、鎧の頭は吹っ飛びアルの身体は倒れる、それが合図なのかどこからか教会の者達が令美達を取り囲む
「師兄!何をなさるんですか⁉︎」
「ロゼこの者達は教主様をおとしいれようとする異教徒だ、悪なのだよ」
ロゼが止めようとするが教主の指示だと知るとロゼは何も言えなくなった
「教主様の御言葉は我らが神の御言葉…これは神の意志だ‼︎」

「へぇ…ひどい神もいたもんだ…」

神などと馬鹿な話ばかりして銃で令美達を狙う男の銃を掴んで止めたのは…身体だけで動いているアルホォンス





「ストライク‼︎」
「ボクの頭‼︎」
教会の者達がアルに驚いてる間にエド達は武力で制圧、最後にはエドがアルの鎧の頭を投げつけ終了、アルが起こりながら自分の頭をキャッチ。

「なっ…中身が無い…空っぽ…っ‼︎」
鎧の中身が無いのに動き言葉を話すアルにロゼは驚いてばかり…

「…これはね、人として侵してはならない神の領域とやらを踏み込んだ
罪というやつさ…ボクと兄さんもね…」

「エドワード…も?」

「ねぇ、それでどーすんのよ…これから」
ロゼは2人の話に理解はできないが得体の知れない怖さを感じる中令美の空気の読まない一言が部屋にこだました
「おっ…前…そいつら倒したのか?…逃げたのかと」
4〜5人が重なるように倒れた男達を踏み台にしてる令美にエドはア然
「ザコにやられるわけないじゃん自分の身は自分で守るから」
「…そーかよ」
可愛げのない令美の冷たい態度にエドは気にくわないらしい、すぐに教会の話へと変わった

「ロゼ…真実を見る勇気はあるか?」





        [ 優しい兄弟 ]




「…そーいえば驚かねーんだな、アルの中身見て」

エド達と教主のところへ向かう中、エドが探るような目で令美に問う
「…そのくらいじゃあ驚かない」
「そのくらいって…普通驚くだろ中身が無いのに動くんだぞ」
エド達の経験上、今まで驚いた奴しかいなかったのに驚かない令美の反応はめずらしい

「知ってたから…見ればわかんのよ、私はね」

「ハァ?」
ぽつり…と一言いい残し令美は先へ、エドにとっては疑問が膨れあがっていく
「…あいつ何者だ、なんで俺らに付きまとう」
「…うん、分かんないけど悪い人ではないと思うけど…」
「そーか?盗っ人だぞ」
正体はわからない令美にエドは警戒を強めたいが…今は教会の事もある、教主の居る部屋に着くころにはエドは令美のことを一旦隅にやる



「ロゼが言ってた教主の部屋ってのはこれか?」
「案外普通…(悪役の部屋っぽくない)」
扉が勝手に開き、エド達を招いた
「へぇ…“いらっしゃい”だとさ…」
部屋に入ればやはり扉は勝手に閉じ、エド達を逃さないため
「神聖なる我が教会へようこそ…教義を受けに来たのかな?ん?」
部屋は思ったより広く薄暗い…教主は高いところでエド達を見下ろしている
「あぁ…ぜひとも教えてほしいもんだ…ぜひ錬金術で信者をだます方法とかね‼︎」
安い挑発するエドに呆れる令美、こんな挑発に乗るやつは馬鹿だなとも思った
「…さて何のことやら私の“奇跡の業”を錬金術と一緒にされては困るねぇ…一度見てもらえればわかるが…」
「見せてもらったよ…で、どうも腑におちないが方則を無視した錬成がどうゆう訳か錬成させちゃってるって事なんだよ」
「だから錬金術では…」

「…そう思ったんだけど…“賢者の石”使ってんだろ?」

エドの仮説に教主は反応した
「たとえばその指輪がそうだったりして…」
「…わかりやす」
ポーカーフェイスの一つもできない教主の嘘はすぐにバレる
「ふ…流石は国家錬金術師、すべてお見通しという訳か…ご名答‼︎伝説の中だけの代物と呼ばれる幻の術法増器…我々錬金術師がこれを使えばわずかな代物で莫大な錬成を行える‼︎」

「さがしたぜぇ…‼︎」
教主が指輪を見せびらかす…エドがそれを見て嬉しそうに笑った

それはエドとアルがずっと探してるモノ、旅をする理由

「(アリスストーンに似ている…けど“賢者の石”ね…)」

“あれは…”

「なんだそのもの欲しそうな目は⁉︎この石を使って何を望む?金か?栄誉か?」
「あんたこそペテンに教祖におさまって何を望む…金ならその石を使えばいくらでも手に入るだろう…」

教主の瞳が欲望に染まる…令美の嫌いな瞳だ

「…金ではないのだよ…いや金は欲しいがそれはだまっていても私のフトコロに入って来る…信者の寄付とゆう形でな…
むしろ私のため喜んで命も捨てようとゆう柔順な信者こそが必要だ」

教主は楽しそうに自身の野望を口にした、死をも恐れぬ軍団をつくる…と
「気持ち悪っ…」
教主に嫌悪感を抱く令美は教主を見るのも嫌だ

「どうでもいい」
まったく教主の野望に興味がないエドは交換条件を持ち出した『黙ってやるから賢者の石を渡せ』と…もちろん教主はそんな事受け入れるはずなく
「貴様らがいくら騒ぎたてても奴らは耳もかさん‼︎馬鹿信者どもはこの私にだまされきっておるのだからなぁっ‼︎」

「いやぁーさすが教主様!いい話きかせてもらった…確かに信者はオレの言葉は耳もかさないだろう…けど!
彼女の言葉にはどうだろうね…」

教主の言葉は信者達にとっては残酷な言葉だろう、その言葉をきいた馬鹿信者の1人であるロゼがアルの鎧の中から出てきた
「教主様っ‼︎今おっしゃった事は本当ですか⁉︎私達をだましてらっしゃったのですか⁉︎あの人をよみがえらせてはくれないのですか⁉︎」
ロゼが真実を教主に問い詰める、教主の言葉が受け入れられないから、その後は令美からしたら茶番劇だった…
教主が慌ててロゼの願いを叶えると言い出し恋人を求めたロゼは…
「いい子だ本当に…さて、では我が教団の将来をおびやかす異教徒はすみやかに粛清することにしよう…」
甘い誘惑に囚われたロゼは結局教主側に、交換条件もこれで無効に


「…黙ってきいてれば…何、この茶番」
「オイ」
ロゼが向こう側に行ってしまい教主は口封じのため令美達の前には何種類か混じった化け物がでできた
「交渉なんかせずに奪っとけばよかったのに…もうやる気なくした、私なんもしないから後は自分達でどうにかしてよ」
「何様目線なんだよ、お前」
完全にやる気なしの令美にエドは元々戦わせる気などなかったのだが令美の態度に気持ちが揺らぐ

化け物…合成獣(キメラ)を前に令美は戦闘放棄、エドは盛大なため息をはいて武器を“作った”
「うぬ!連載陣も無しに敷石から武器を錬成するとは…国家錬金術師の名は伊達ではないとゆう事か‼︎」
令美にはまったく知識がないためエドが両手を合わせ地面から電流と強い風を吹かせ、武器が錬成した…これが錬金術

「だか甘い‼︎」

エドの左足は武器と共に合成獣によって切り裂かれた、生身の身体で合成獣に切り裂かれれば、普通は…
「…どうしたネコ野郎…しっかり味わえよ…」
合成獣が斬り裂こうが、エドの右腕に噛みつこうがエドは平気だった

合成獣にエドの右腕は噛み殺せない

「…ロゼ…よく見ておけ…これが錬成を…

 神とやらの領域を侵した咎人の姿だ‼︎」

エドは合成獣を蹴り倒し…赤いフードで隠されていた右腕を見せる

鋼の右腕と左足を…

「(これが彼らの“罪”のアカシ)」

「…鋼の義肢“機械鎧(オートメイル)”あぁ…そうか…


         鋼の錬金術師‼︎」




「へっ…2人がかりで1人の人間を甦させようとしてこのザマだ…ロゼ‼︎人を甦らせるってことはこうゆうことだ!…その覚悟があるってのか?あんたには⁉︎」

自分と同じ願いを叶えるために彼らが払った代償を見て、驚き恐怖を隠せてないロゼ、エド達は自分達の身体を取り戻すため無から有を生み出す賢者の石が必要なのだ

「教主さん、もう一度痛い目見ないうちに石をボク達に渡してほしい」
「くくっ…神に近づきすぎ、地に堕とされたおろか者どもめ…ならばこの私が今度こそしっかりと…神の元へ送り届けよう‼︎」
エドとアルの言葉などもちろん通じず教主は自身の杖をマシンガンに錬成し
「いやーオレって神様に嫌われてるだろうからさ…行っても追い返されると思うぜって‼︎」
マシンガンで撃たれる前に錬成で壁を作り身を守るエド、教主は気にくわず次はアルを狙う、ロゼの前で
「クズは嫌い」


「なっ…なんだ⁉︎なぜ動かんのだ‼︎」

令美がアリスを使いマシンガンの動きを止める…
もちろん誰も気づく者はいない、教主は慌てエドはその隙に部屋から脱走した(扉は錬成した)




「なんで逃げるの?あんな奴やっつければいいじゃん」
「別にオレ達はあの教主をやっつけるつもりなんてねーよ」
教主から逃げるのに納得がいかない令美は不満をエドにぶつける

「オレ達の目的は“賢者の石”だ」
「…じゃあ何で“こんな事”するの?」
逃げる途中見つけた放送室でエドが“ある”作戦をたてた、2人が準備するため2手に分かれた、令美はこの作戦に疑問しかない

だがエドは令美の問いに答えてはくれず、その内邪魔すんなと令美はアルのとこへ行かされた



◇◆◇◆

「さっきの話だけど…まだ信じられない…そうまでしないと錬成できないなんて…」
アルのとこへ行けばロゼが人体錬成についてアルにきいていた

「言ったろ…錬金術の基本は“等価交換”って…何かを得ようとするなら、それなりの代価を払わなければならない…兄さんも“天才”だなんて言われてるけど“努力”とゆう代価を払ったからこそ今の兄さんがあるんだ…」
「(あのチビが“天才”?…ありえない)」
2人の前に出るタイミングを逃した令美は物陰から2人の様子を伺うが、アルの話を静かに聞いてる令美は話の内容に不満がつもる

「…でもそれまでして犠牲を払ったからにはお母さんはきっと…」

「…人の形をしてなかった」

エド達の人体錬成はロゼの希望でもあった…だが現実は
「人体錬成はあきらめたけどそれでも兄さんはボクの身体だけでも元に戻そうとしてる…ボクだって兄さんを元に戻してやりたい…でもそのリスクが大きいのはそうゆう業の道だ…だからロゼ…  君はこっちに来ちゃいけない」

「(あぁ…)」

ロゼはアルに何も言い返せなかった、自信の願いと彼らの忠告に恐怖…2つの思いがロゼの道を塞ぐ
「(…なんでこんな似たような奴らと会うんだろ…私)」






作戦は単純、教主の裏の顔を放送を使って町中に知らせる

盗んだ鐘を放送コードに繋ぎ、鐘をスピーカー代わりにして町中に聞かせる、そんな事知らずに教主はエドの言葉に乗せられペラペラと本性を晒せだした、隠していたマイクはそれを全て拾い放送された、すぐにでも騙された信者の反乱が始まるだろう



「ハンパ物?」

「あぁ…とんだムダ足だ、やっとおまえの身体元に戻せるかと思ったのにな」
「ボクより兄さんの方が先だろ…オートメイルは色々と大変なんだからさぁ」
結局、賢者の石は偽物で苦労が水の泡(令美は何もしてないが)教主はエドによって気絶してた

「…そんな…うそよ…だって生き返るって言ったもの…」
教会は(エドのせいで)崩れ教主は(エドのせいで)神ではなく偽物だと気付かされたロゼは絶望して地に座り込む
「…あきらめなロゼ…元から」
「なんてことしたくれたのよ…」

エドがした行動、言葉をロゼは拒絶する…暗い言葉

「これからあたしは何にすがって生きていけばいいのよ‼︎教えてよ‼︎ねぇ‼︎」

涙を流し信じる者をなくしたロゼはそれを奪ったエドにすがる

「…そんな事自分で考えろ…立って歩け…前に進め

あんたには立派な足がついてるじゃないか…」

エドとアルはロゼを通り過ぎ行ってしまった…自信の願いのため、前へ


「よかったじゃない」

「え」

気付いた時にはロゼの前には汚れ1つもない令美がいた

「あの兄弟、全部あなたの為に“こんな事”してくてたの」
令美の瞳は何の感情も無い…ただロゼを写してるだけ

最初に出会った時とはまるで別人、ロゼは恐怖した

「じゃなかったらあなた、死んでたよ」

「…っ!死って…」
軽いとても軽く令美は無感情のままロゼに未来を語る

「あのハゲが言ってたでしょ、覚えてないならいいけど」
「何を言って」
軽すぎる令美のせいか、混乱してるせいかロゼにはまったき令美の言葉が頭に入ってこない

「まぁ、とにかくあの兄弟には感謝しとけば

私、あなたを助ける気まったくなかったから」

恐怖で一瞬目の前が暗くなったロゼ…その一瞬で目の前にいた令美はいなくなっていた…だがその異常さに今のロゼは気づくことはできなかった





(何も変わらない)

(私も世界も…この力(アリス)も…)

(でも)

「不器用すぎるぼどお人好しバカ兄弟か…」


「あ、レイミ…さん」
「なぁ⁉︎お前何しに来た‼︎また金か!2度も取られてたまるかぁ‼︎」
先に行っていたエド達を令美は追いかけた、彼らはまた次の町へ行くみたいだ

「私も一緒に行くから」
「ハ」

「結局、借り返してなかったからね…」



(優しすぎる兄弟は…あんた達に少し似てる気がした

 だけど違うから…)


 これは世界から逃げ出した少女が罪を背負った兄弟と旅をして…

    止まった時が動き出し…変化していく





アカシ-Tsukimi