荒れてんな









「資料を見せることはできん!」
「そんな…‼︎」
マルコーはそれでも資料を見せないと言った…元の身体に戻るだけのそれしきのことではダメだと

「あれは見ない方がいいのだ…あれは悪魔の研究だ…

知れば地獄を見る事になる…」

「地獄ならとうに見た!」


「…だめだ…帰ってくれ…」
エドの頼みをマルコーはやはり資料を見せてくれなかった
「…見せる気ないなら最初から話すんじゃないわよ…」
「…」
「おい!令美待て‼︎」
関係ない令美が何故かマルコーに辛口の言葉をはいて出て行ってしまったそれを追うエド達



「本当にいいのか?」
「え?」
令美を筆頭にマルコーの家から出ていき汽車が来るのを駅のホームで待つ間少佐はエドに資料の事をきいた
「資料は見られなかったが石なら力ずくで取り上げる事もできたろうに…」
「あーのどから手が出る位欲しかったよ、マジで‼︎…まぁ誰かさんのせいで諦めざるおえなかったけど…」
マルコーに無理強いするつもりなかったエドは令美の急な行動には驚いたが…あそこを出る口実にはなった

「だって、あのオヤジ“見てはならない”とか言っておきながらペラペラと興味引く話し出して…だいたい悪魔の研究とか言うくらいなら持ち出さずに捨てれば良かったのよ‼︎」
エドは令美を攻めた訳ではないが…令美は言い訳というか、マルコーの愚痴ともいえる話し…見て分かるほど機嫌が悪い

「…荒れてんな…」
「逃げのびたとか都合の良いこと言うけど、それで人間兵器の“石”を此処に持ってくるのも気にくわないの‼︎」

『……』

エドは驚いていた…まさか令美がそんな事を言うとは思ってなかったから
「…なによ」
令美は気づいてないのか、令美の言った言葉はまるで町の人達を心配してると言ってるようなものだと言うことを

「…なんでもねーよ」
「ニヤニヤして気持ち悪い…私、なんも悪いことしてないから!」
反省する気ゼロの令美がそっぽをむく…エド達は顔を見合わせて笑った…中断された事に誰も怒ってない、嬉しかったのだ

  (ニーナの件、この町での件…

       こいつは…レイミは、案外…)

「…そうだな町の人達の支えを奪ってまで元の身体に戻っても後味悪いだけだよなー」
「そう思うなら私に文句言わないでよ!」
「うるせぇ!…また別の方法さがすさ…な」
「うん!」
令美の不機嫌にも今のエドは笑顔で返事ができた、アルや少佐も嬉しそうだった

「…」

「そう言えば少佐もよかったのかよマルコーさんの事中央に報告しなくてさ」
エドが少佐の事を心配するが、エドも軍人なはずなのだが…制服も着てないし…と令美はエドが本当に軍人か疑う

「我輩が今日会ったのはマウロという、ただの町医者だ」
少佐のついた嘘は軍人としては立派ではないがエド達は嬉しそうに笑った…何も手に入ってないのに

「あーあまた振り出しかぁ…道は長いよ、まったく…」


「君!」
「…マルコーさん」
だが、エドは呼び止められた…マルコーはエドに一つの手紙を渡しに来た
「私の研究資料が隠してある場所だ…真実を知っても後悔しないと言うならこれを見なさい…

そして君なら真実の奥の更なる真実に…」

「(…更なる真実?)」
マルコーが言おうとして止めた言葉の意味は今は誰にも分からないが…その手紙の中に答えがあるのか…
「君達が元の身体に戻れる日が来るのを祈っておるよ…」

涙を流しながら少佐は敬礼、エドは頭を下げてマルコーを見送った…どうして資料を渡してくれる気になったかは分からないけど
「(…優柔不断でムカつくオヤジ…)」
感謝してるエドとは違い令美はやはり気に入らないが…

“国立中央図書館第一分館  ティム・マルコー”

手紙にはそれだけ書いてあった、少しクセのある英文は令美には読めなかった
「(…慣れていかなきゃ)」
「なるほど…『木を隠すには森』か…あそこの蔵書量は半端ないからな…ここに石の手掛かりがある…‼︎」
「兄さん道はまだ続いてる‼︎」
「あぁ‼︎」
本当は今すぐにでも図書館に行きたいのだろうエドは汽車が到着して1番に乗り込んだ
「…石への道ね…」
次の道が出来、瞳を輝かせたエドの後を令美はついていく…

  「(…そういえば、あの変な奴って…)」


      少しの不安を残して…


アカシ-Tsukimi