長くなりそうね









「ティム・マルコー…えーと…」

エド達は国立中央図書館でティム・マルコーの本を調べてもらっていた、第一図書館で奇跡的に残っているか別の場所にあるか…結果は最悪

「(…なんかタイミングが良すぎる気がするけど…)」
本が無い事に絶望中の兄弟に天の助けか、図書館の職員から有益な情報が…

「あれ?留守ですかね?」
「明かりがついてるからいると思うけど…失礼します…」
教えてもらった家に行き、玄関で呼びかけるが返事なし、しかも鍵がかかってなく…それをいいことにエドが遠慮なく扉を開けた

「うわっなんだこの本の山‼︎」
「本当に人が住んでするですか、ここ⁉︎」
部屋の至る所に積まれた本の山…確かに話の通り『本の虫』が居そうな部屋…ズカズカとエド達は部屋の中へ入っていく、令美は外で待っていた


「兄さん、人っ‼︎人が埋まってる‼︎」
「掘れ掘れ‼︎レイミも手伝え!」
「イヤよ」
なにやら本の中きら人が助けを呼ぶ声がしたとかでエド達は慌てて本を掘りだす…それでも令美は手伝わないが…

「ああああぁすみませんすみません‼︎うっかり本の山を崩してしまって…このまま死ぬかと思いました、ありがとうございます〜‼︎」
本の中から救い出し少しは綺麗になり令美はやっと中に入った、救い出されたメガネの女性は笑顔でお礼を言った

「はい、私がシェスカです、私本が大好きなもので分館に就職が決まった時はすごく嬉しかったんですが…本が好きすぎてその…仕事中だという事を忘れて本ばかり読んでいたものでクビになってしまいまして…」
笑顔だったのに仕事話になると母の病気なのにと“自分はダメ人間”だと泣き出したシェスカ…

「あー…ちょっと訊きたいんだけどさ、ティム・マルコー名義の研究書に心当たりあるかな?」
メソメソしてるシェスカにエドはギクシャクしながら本のことを聞く
「(…この人)」
本の虫なだけあってシェスカは覚えていた、確かに本は第一分館にあったらしく兄弟は諦めモード


「…本当に分館にあったんだ…て事はやっぱり丸焼けかよ…『ふりだしに戻る』だ…」
「なんとかなるんじゃない?」
“はぁ?”とエドは急に話に割り込んできた令美を見た、今まで興味すらなかったのに、なにを根拠に…

「“本の虫”なら中身覚えてるんじゃない?」
「あっはい、中身全部覚えてます、一度読んだ本の内容は全部覚えてます一字一句まちがえず」
地獄から天国、本の虫であるシェスカが複写出来ると知り兄弟は大喜び
「よく分かりましたね、彼女が中身を覚えてるなんて…」
「…本の虫ってだいたいそんなもんじゃない?」




◇◆◇◆





五日後、ティム・マルコー氏の研究書の複写が終わったとかでエド達は大忙し、全く興味がない令美は手伝う事なく部屋でのんびり過ごしてた、ついでに言えばシェスカはお礼としてエドから大金を受け取ったそう…

「…これが石の研究書?…ただの料理本じゃん」
「さわんな」
エド達が持って帰ってきた机いっぱいにある書類、ティム・マルコーの『料理研究書今日の献立1000種』の一部を令美は勝手に見る
「本当に石の事が分かるの?主婦にあげた方がいいんじゃないの?」
「(聞いちゃいねぇ…)…『錬金術師よ大衆のためにあれ』…って言葉があるように錬金術師は術がもたらす成果を一般の人々に分け隔てなく与える事をモットーにしている」
エドは知識のない令美に錬金術師について部下2人含めて教える

「けどその一方で一般人にそのノウハウが与えられてしまうことを防がなければならないんだ」
「あぁなるほど無造作に技術をばらまいて悪用されては困りますね」
その防ぎ方が錬金研究書の暗号化で一般の人がみてもただの料理本だがその中身は本人にしかわからない錬金術書だと言う

「書いた本人にしかわからないって…そんなのどうやって解読するんですか」
「知識とひらめきとあとはひたすら根気の作業だな」
解読法の険しなさにブロッシュは嫌な顔をした
「うわ…気が遠くなりそうですよ」

「でも料理研究書に似せてる分まだ解読しやすいと思いますよ錬金術っていうのは台所から発生したものだって言う人もいる位ですしね」

「さて‼︎さくさく解読して真実とやらを拝ませてもらおうか‼︎」

アルやエドがやる気に満ちて作業へと取り掛かるのを素人の3人は見てることしかできない


「…長くなりそうね…」









アカシ-Tsukimi