逃げたじゃん





「早くしろよアル!」
「兄さんそんな急がなくても…」

   長い間汽車に揺られ…

  「うむ、図書館は逃げる事はないぞ」
   「はしゃがないでよ、ガキじゃあるまいし」

       ようやくついた場所はー

「うるせぇ‼︎いいから早く…

         来たぜ “セントラル” ‼︎ 」

「…昔の外国映画みたい」
アメストリスの中央都市セントラル…さすがの中央、汽車の駅は今まで見た中で1番大きい…外国になど行ったことない令美は完全に観光気分

「アームストロング少佐おむかえにあがりました」
「うむ、ごくろうロス少尉ブロッシュ軍曹」
図書館へすぐ行こうとした時、2人の軍人が駅で待っていた…少佐の部下らしい

「(部下がいるんだ…こんな人でも)」

「こちらが鋼の錬金術師殿でありますか」
令美が失礼なことを平然と考えてる中、部下2人は鋼の錬金術師にあいさつした
「マリア・ロスです、お会いできて光栄です」
「デニー・ブロッシュです、いやぁ…ふたつ名通りの出で立ち!貫禄ですな!」

「…まぁ仕方ないよね」
やっぱり、部下2人は鋼の錬金術師をアルと決めつけた…アルや少佐が指さして訂正するが部下1人が“ちっこいの?”とエドの禁句を言ってしまいエドの怒りは鰻登り…2人は慌てて謝ってる

「では我輩はこのまま中央司令部に報告に赴くゆえ」
「え?何?ここでお別れ?おつかれさん残念だなぁバイバイ!」
怒っていたエドだが少佐との別れに機嫌を取り戻した、無理もない…帰りの汽車でもエドは少佐と合席、令美は断固としてアルの隣を譲ることはなかった
「我輩も残念だ‼︎まっこと楽しい旅であったぞ‼︎また後ほど会おう‼︎」
エドの本心に気づかない少佐は感動しエドに抱きしめた…エドの骨が悲鳴をあげてる
「何やってんの、あの2人…」


「東方司令部の報告によるとスカーもまだ捕まってないそうですし、事態が落ち着くまで私達が護衛を引き受ける事になってます、少佐ほど頼りにならないかもしれませんが腕には自信がありますので安心してください」
車の中、少佐の部下2人はエドの護衛であり、エドがブーブー文句言うのを女性のロスが懇切丁寧に説明してる


「…ま、しょーがないなぁ…」
「『よろしくお願いします』だろ、兄さん」
「あの暑苦しい人よりマシ」
“レイミさんも…”と、アルが礼儀の無い2人に注意すると、ロスとブロッシュが驚きの声をあげる
「兄…⁉︎えぇっと、この鎧の方は弟さん…?」
「それにしても何故鎧の姿で…?」
アルが弟な事に驚き、アルだけ鎧を“着てる”疑問を聞いてしまうのは仕方ない…そんな疑問にエドとアルは顔を見合わせて…

「「趣味で…」」

「…あやしすぎる」
「あぁ‼︎見えてきた見えてきた‼︎」
変な兄弟と思われただろうコソコソと話す部下達にエドは図書館がついたことをいいことに話を中断させた


「あぁ、あれが国内最大の蔵書量を誇る国立中央図書館です全蔵書を読み切るには人生を百回くり返してもまだ足りないと言われている程です」
気を取り直して、ロスの図書館についての説明の中、車は止まりエド達は図書館の建物へ…

「そしてその西隣に位置する建て物がある二方のも目的とする第一分館…ここは様々な研究資料や過去の記録各種名簿等が収められて…いるの…ですが…」

  だが、そこには見上げる建て物はなかった

「つい先日、不審火によって中の蔵書ごと

           全焼してしまいました…」

「…逃げたじゃん、図書館…」





アカシ-Tsukimi