研究者って








「やられた‼︎」
護衛していたロスとブロッシュは兄弟の部屋がもぬけの殻であることに気づいた
「やけに静かだと思ったら…」
「あ〜〜職務怠慢でアームストロング少佐にしぼり上げられるぅ〜〜」
部屋の窓にはロープが吊るされており、兄弟はここから下へ逃げ出したようで
「…あのガキども〜〜っ‼︎こっち(護衛)の身にもなれって言うのよ‼︎」

「何かあったの?」

ブロッシュは泣き、ロスが怒りでつい悪口を言ってしまう…そんな2人に声をかけたのは
「レイミさん⁉︎お2人と一緒じゃなかったんですね‼︎」
「良かった〜!レイミさんだけでもいてくれて〜」
「…」
令美の姿を見て安心しだした2人に、何も知らない令美は反応に困る…令美はあの日から毎日兄弟とは別行動で今しがた外から帰ってきた所だった

「…どうしたの」
「……実は」




エド達が逃げ出した数時間前、あまりに引き篭もる兄弟を心配したアームストロング少佐が部下2人から(強制的)話を聞き出したとこから始まった

『聞いたぞエドワード・エルリック‼︎』
暗いエド達を吹っ飛ばすほど大胆に部屋に突入した少佐にエドは会いたくなかったのだが…

『真実は時として残酷なものよ…』

ただ一言、少佐のこの言葉でエドはあることに気づく…

『どうしたの兄さん?』

『マルコーさんの言葉覚えてるか?』
『え?』

『ほら駅で言ってただろう…“真実の悪の真なる真実”…

    そうか…まだ何かあるんだ…何か…』





「ーーそれからエドワードさんが言うには第五研究所で実験が行われているのではないかと推測し…」
「少佐が軍上層部に探りを入れてくれてるので報告するまで待ってるように言われてたのに〜」
ロスはイライラしてブロッシュはオロオロとしながら状況を説明してくれた…性別的には逆だと思うが

「とにかく私達は第五研究所に行ってみます‼︎レイミさんは危ないのでここにいてください‼︎」
説明を終えれば、令美の返事も聞かずに2人は慌てて出て行ってしまった

「“真実の奥の真なる真実”…ね」

部下2人は知らない、令美は人の言うことをきかない…

令美は自分の部屋に戻り着替える、この世界の服ではなくアリス学園の制服に
「文化の違いでココのは動きづらいのばっかり…あっちからもっと色々持ってくればよかった…」
着替え終わった令美は窓を開けて夜空を見るのではなく、エド達を探す
「第五研究所…だっけ?


  本当、めんどくさいのよ…研究者って」


令美は夜空に溶け込むように窓から外へー


消えた




      ◇◆◇◆◇◆





「でぇぇぇぇ‼︎」

第五研究所に侵入したエドとアルは建物の中に入るため警備されてる入り口ではなく、排気口らしい小さな穴から入ることに…もちろん小さいためエドしか入れずアルは外で待っていたのだが…
「…にゃろォ〜‼︎ちっとは…おとなしく斬られやがってんだ…このデカブツ‼︎痛くしねェからよ‼︎」
「んな事言われても…」
待ち人アルの目の前に現れたのはアルと同様全身鎧姿…この研究所を守る敵とアルは戦っていた

「…アルみっけ、まだ終わってないじゃん」

ベラベラと喋りながら包丁を振り回してる敵に対してアルは冷静に避けて反撃する

「そこ、邪魔」
「え、ぎゃぁぁぁぁっっ‼︎」
そこに追撃かのごとく上から令美が飛んできたみたいに敵の頭を土台にして蹴りとばした

「え、レイミさん⁉︎どうしてここに⁉︎」
「…事情は警備の人から聞いた、怒ってたみたいだけど」
怒られる覚悟できてるエド達はいいのだが…“全く関係ありません”オーラ全開な令美は大丈夫なのだろうか…とアルは優しすぎる心配をする

「おっさんの言ってた真実の奥の更なる真実ってヤツ…気になるしね」
「(…レイミさん…最初から)」
アルは急に現れた令美に驚くのはもちろん、危ない場所に来た令美の危機感の無さにも

「野郎…頭が落ちちまったじゃねぇか…」
令美には色々聞きたいことがたくさんあるが敵が起き上がって鎧の中身を見て話は中断された

「その身体…」
「げっへっへっちょっと訳ありでなぁ…」
令美により頭を吹っ飛ばされた敵の中身はアル同様空っぽだった…下品に笑い方といい喋り方といい令美の嫌いな人種

「…そうだ昔話をしてやろう、おめぇも聞いた事あるだろう…バリーっつう肉屋の話だ…」

なぜか敵のバリーの昔話をきかされた
令美からしてみればどーでもいい話でバリーと言う肉屋が牛や豚だけでは我慢出来ず人間を解体して捕まり死刑になった…と言う話
「…てのが世の中に出回ってる昔話…ところがこの昔話には続きがあってよぉ…」

バリーの話はまだ続きバリーは表向き死んだ事になってるが研究所のガードマンになることを条件に生きながらえた…ただし肉体は取られ魂のみ鉄の身体に定着させて

「そう!今てめぇの目の前にいるこのオレ‼︎バリー・ザ・チョッパーとはオレの事だァ‼︎」

「「…誰?」」




アカシ-Tsukimi