私のように







   わかってる

  自分の事を隠したままでいいわけない

  いつか話すつもりでいた…

  ただ…

         また私は伝えられないの

           あの時のように…




「…あのレイミさん…兄を…助けてくれて…

     ありがとう ごさいます… 」

「…たいした事じゃないわ…」
令美は研究所が崩れる前に気絶するエドを背負ってアルのとこに戻った…そこにはあの部下2人もいて令美を見て驚いてた

研究所が完全に崩れる前に細かい話は後、皆で逃げる中…令美はアルからのお礼を上手く受け取れない…自分勝手でエドを気絶させたから…

「(…ちゃんと話さないと…)」




後日、怪我してるエドは警備の元、病院に入院しており、体調が安定した頃大人としてロスとブロッシュが“怒った”…クビを覚悟して大人を頼らないエドに説教した、そしてもう1人…

「私は何も知らなかった…エド達の研究だって関わってないし、そこら辺には興味が無かったから…でもあんな事情だけ説明してホテルで待っとけって言われて放置されたらいくら私でも“心配”ぐらいするんだから…結果的に私の方が早くついて私がエド達を助けたんだから…

そんな私がなんで説教されなきゃいけないのよ」

それはもう立派な言い訳であった…心配なんか一切しなさそうな令美が堂々と言うものだからロス達は完全に説教モードじゃなく反対に謝罪しそうにある

「…誰が誰を心配したって〜心配なんてしてねーだろ‼︎」
「…」

それを止めたのは怪我人のエドで令美のウソにまったく通用しなかった令美は舌打ちしたい気分になる
「…え、ウソなんですか⁉︎」
「堂々と語るものだから本当なんだと思った…」
エドに言い返さず不機嫌な令美を見て言い訳がウソだと気づいたロス達は怒りよりも驚きが先にきた…結局説教されずにすんだ令美にエドは腑に落ちない

「…こいつ…」
「ま、いいじゃないウソだろーがなんだろーが命助けたのは本当なんだし…

それにエドはもっと気にしないといけない事があるでしょ」

「?」
反省ゼロの令美はエドが忘れてる大事な事を親切に教えてあげる

「…その腕 “また” 直すついでに盛大に怒鳴られることね…」

エドの顔が真っ青になったのは言うまでもなく令美の怒りなど忘れてあの嵐をどう静めようか頭をフル回転にして思考する





そんなエドをほっといて令美は病室から出て薄暗い廊下に座り込んでるアルの前へ

「…気にしてんの?あんな馬鹿が言ったこと…」
「…レイミ…さん…」
表情が分からないが令美は事情を知ってる唯一の人でもあるし見ていて落ち込んでるアルにため息した令美は隣にある椅子に座った

「そんなに気になるならエドに聞けばいいのに…」

「…言えません…こんなこと…兄さんに言って…もし…」

完全にバリーの話にのまれてるアルは真実に恐怖してる…だからエドに何も聞けない

「1人で悩んで解決するならいいけどね…

      あの兄貴は気付きそうにないから…」

令美がどんな言葉を並べたところでアルの疑惑は晴れない…解決しないまま空気は重く沈黙する中…

「あれっ、アル…」
通路の角から車椅子に乗ったエド暗い隅に座っているアルに気づいた…ブロッシュに車椅子を押してもらいながらアルに近づくがアルは気がついてない
「げっ…レイミもいるのかよ…何してんだそんな隅っこで…」
「…」
暗い廊下の端に2人がいることにエドは驚くが令美は相変わらず無視でアルは無反応
「…おーい?アル!」
(カツン)

  「 ! …兄…さん…」

全く動かないアルにエドが大声で呼びかけ令美が陰でアルの体を足で軽く叩いたおかげでアルはエドにようやく気づいた
「そんな所にいないで部屋に行かないか?」

「…」

「ん?」
令美はアルの反応を待った…だが…

「…ううん、なんでもない…今行く」
「?先に行ってるぞ」
やはりアルはエドに言うことができなかった…



「…やっぱり言えないの?…これじゃ何も変わんないけど」

「…」

     “…私のように…”

「(私も結局…何も言えない…)」







     ◇◆◇◆◇◆





それから数日後

何も変化がないまま、ヒマな日々が過ぎていった…エドは相変わらず入院、アルも言い出せず、そんな2人に令美も若干の空気を読み何もせず

そんな中、嵐が到来した…エドの腕を直すためリゼンブールからわざわざ来たウィンリィーだ

「あ!レイミ久しぶりー‼︎」
「…あなたが来たの…」
令美が病室に入ればウィンリィがエドの腕を直していた…ウィンリィーは令美に気付くと嬉しそうにするが令美は相変わらずの塩対応

「…アルは?どこ行ったの?」
「……あ?アルなら少し前に出て行ったけど場所までは…」
アルの事を聞かれるとは思ってなかったエドの反応はイマイチ…やはりアルは今日も何も言えてない様子
「…そう」
「「?」」
令美は入ってきたばかりの部屋をすぐに出でアルを探しに行く、訳が分からないエドとウィンリィーを残して

「…何なんだ…あいつ…意味分かんねー」
「はぁ〜いつ見ても可愛い〜!笑ったらもっと可愛いんだろうなー‼︎もっと仲良くなりたーい‼︎」
「…そー思うのお前だけじゃね」
令美がいなくなった部屋で令美に対する反応は真逆でエドはウィンリィーにまた引いた…




「…まだ言ってないの?…時間が過ぎるとますます言いづらくなるよ」
また、廊下の椅子に座ってるアルに令美が近すき未だにあの日の事を考えてるアルに令美は実体験をもとにアドバイスをする

「…きっと後悔する…エドにどんな事を言われ辛い想いしてもアル…言わずに離れるのは…

        もっと、辛いから…」

「……レイミさん…レイミさんも後悔したことが…?」

アルに言われ令美は余計なことまで言ってしまったと気付き返事もせずにその場を離れた







アカシ-Tsukimi