血に怖がらない









「…う…ま…れ たー‼︎」

血を見て倒れてるパニーニャに座り込んでるウィンリィにベット周りを綺麗にしてる令美、待っていた兄弟は大ハシャギ
「すげー本当に生まれたよ!すげーすげー‼︎」
「すげーすげーってそんな子供みたいな感想を…」
感動した兄弟は単調な言葉しか出てこない、疲れてヘロヘロなウィンリィはそんな兄弟に呆れた
「だっておめー生命の誕生だぞ⁉︎錬金術師が何百年もかけて未だ成し得てない『人間が人間を創る』っていう事をだな!女の人はたった280日でやっちゃうんだぜ⁉︎」
「生命の神秘を科学と一緒にするなんてロマンが無い!」
「う‼︎しょうがねぇだろ職業柄よぉ…

うん、でもやっぱりすげーよ…人間ってすげー…」






「それじゃあ コレ片付けたら私休んでいい?」

医者もおらず母子共に無事出産に成功したことに喜びも感動もせず令美は淡々とウィンリィの指示を仰いだ
「あっ…レイミ…手伝ってくれてありがとう…レイミがいてくれて本当によかった…」
自分らとは違い淡々とした令美にエドは目を丸くする

「…やりとけだのはウィンリィ、私に礼を言う必要ないから」

「……“素直”って言葉を知らねぇ返事だなぁ」
ウィンリィの感謝にも冷たい令美はそそくさと部屋を出て行った、そんな令美にエドは呆れウィンリィは笑った
「でも本当にレイミには助けられたの、レイミずっと冷静で血を見ても怖がらないし、私が混乱しても励ましてくれたのよ!」
「へぇ〜」
「美少女なレイミは中身までも完璧で…本当すごかったんだから〜」

令美にメロメロなウィンリィはさておき…

「…血に怖がらない…ね…」



片付けを済ませた令美は1人、血がついた手を見つめた…

     「 神様じゃない…か…バカみたい…」


  『 令美 君の力は 神 そのモノだ…』


「…消えて」




雨がやみ、ドミニクが医者を連れて来て…母子共に安全が確認された…
「本当に皆には…特に嬢ちゃんには世話になった…感謝するありがとう‼︎」
孫誕生にデロデロに甘いドミニクはウィンリィに頭を下げた、するとこれ幸いにとエドが悪巧みしてドミニクに弟子交渉してたがそれでも折れないドミニク

結局、ウィンリィは腕のいい技師を紹介してもらい時々パニーニャと孫の顔を見に来てもいいとの事…素直じゃないドミニクらしい条件の出し方だった



「旧道を抜けたら隣の街サウスフット、そこからラッシュバレーへ馬車便が出るからそれを使うといい」
そして天気も晴天になり街へ降りる…橋は壊れてしまったので遠回りになってしまうが…
「また山道を延々と歩くのかよ…」
「げっそりだわ…」
長い道のりにげっそりしながらもエド達は笑顔でドミニクらと別れた…パニーニャには道の案内をしてもらいウィンリィはラッシュバレーで修業、エド達は汽車へ…

「やばい!汽車が出るよ」
「アル走れ‼︎」
出発してる汽車に兄弟は走りだす、令美は狭く揺れが激しい馬場車で気分が悪くなったと真顔で訴えてエドは納得してなかったが優しいアルは令美を抱き上げてくれていた…

令美を持っていてもアルはすぐに汽車へ乗れた
「じゃあまたな!」
「うん!気をつけてね!」
汽車に乗り令美はようやくアルから降りた、そして走るエドから投げられた荷物を受け取る…アルが、エドは走りながらここまで来てくれたウィンリィとパニーニャに別れのあいさつをする
「おまえもな!しっかり修行しろ…よっ‼︎」
ギリギリで汽車に乗ることが出来たエド、こんなバタバタな別れとなってしまったが…

「ばっちゃん心配してるぞ!ちゃんと電話しとけよ!」
「あんたに言われたくないわよ!」
アルに支えられてエドはウィンリィに激励を送る
「あっはっはっ!あのしじいからしっかり技術盗んで次に会う時はもっといいやつ付けてくれよなっ‼︎」
「まかせといて!」
手をふるウィンリィ達にアルだけがふり返しウィンリィと別れた

「レイミもまたねー‼︎」
「…」




アカシ-Tsukimi