年上でしょ
『‼︎』
その声は死んだと思われた人物の声だった…みんなが驚く中、アルがいち早く自分達の前に壁を錬成した
「なんですって‼︎」
「戦の主導権を握るにはまず敵の機動力を削ぐ…奇襲も有効的だ覚えておけ…
よくやく跪いたな…
人造人間(ホムンクルス)」
爆発にラストの身体は焼かれた…爆発を起こしたのはラストが殺したはずのロイ・マスタング
「へぇ…あの傷自分でなんとか出来たんだ」
「え、レイミさん大佐が生きてるって知ってたんですか⁉︎」
「ここに来る前に会った…今まで忘れてたけど…それが何?」
暴風に耐えるためアルはリザと令美を支える中、令美が大佐が生存してることを知ってた…
「……い、いえ…」
もっと早くに知らせてくれたら中尉への説得も早かったのに…と文句は言えなかったアル
「あの傷と出血でどうやって‼︎」
「焼いて塞いだ‼︎ニ・三度気絶しかけたがな…‼︎」
大佐の右腹は大きな火傷の跡があった…そして素手には血の錬成陣が書かれてありライターと打ち石を火種にして炎を作り、またラストを焼いていく…
「大…」
「だめだ中尉‼︎」
「今出ていったって邪魔でしょ」
何回もする爆発…その威力は壁越しでも熱くて強い…普通の人間は即死…ホムンクルスでも
「貴様はこう言ったな
『まだまだ死なない』と…
ならば死ぬまで殺すだけだ…」
止まらない攻撃にラストは手も足も出ない…
「…炎使いって派手好きばっか…」
「完敗よ」
ロイの攻撃が終わり…ラストが反撃しようとしたが…ラストの身体はゆっくりと砂へと変わる…
胸に埋められていた…石も
「大佐‼︎」
ラストが死に…すべてが終わった時、ロイは力尽きて倒れた…中尉は慌てて駆け寄って身体を支えた
「しっかりしてください‼︎」
「あぁ…中尉無事だったか…」
「ご自分の心配をなさってください‼︎」
部下の心配する1番ボロボロのロイを寝かせる
「アルフォンス…私の部下を守ってくれて礼を言う」
「そんな事より早く医者を‼︎」
「そうだ…早くハボックに医者を呼んでくれ…たのむ…」
戦いも終わり、大佐の状態にアルやリザがつきっきりになる中令美は警戒していた…入り口にいる男を…
「(…ホムンクルスがうじゃうじゃと…本当めんどくさ…)」
令美しか気付いてない…壁越しにいるホムンクルス…
「……」
殺しに来たのかと令美は思ったが…どうやら違うらしく去って行った…令美も今の状態で深追いはしない
「……アル、その爺さんさっさと医者に渡して早く帰ろ」
「えぇっ⁉︎レイミさんそれはあまりにも…」
「………爺さん…」
「大佐!しっかりして下さい‼︎」
危機はもうないと判断した令美は動けない者など老人だと言って帰ろうとする、そんな令美に周りは驚いたり悲しませ…日常が戻る…
ロイ達が重症人として運ばれるのを見送った後、まだ暗い街中アルと令美はウィンリィが待つホテルへ帰る
長く感じたあの戦闘はアルが思ってる以上に短かった…ボロボロな身体の自分とは違い隣の令美はケガ一つもない…
アルには数分前のホムンクルス相手する令美が忘れられない
「…レイミさん…」
「さっきみたいにレイミでいい…一応アルの方が年上でしょ…」
わざわざ止まったアルに令美も同じく止まった
「レイミ…教えてほしいんだ…君の力について…
」
アルは真剣に令美を見つめて…あの科学では説明出来ない令美の力をアルは知らないといけない
「いいよ」
「…え?…ええっ⁉︎」
またはぐらかされて終わるんだろうと思ってたアルだが…勇気を出して令美に聞いたアルが拍子抜けするほど令美は簡単に教えてくれると言う
「あのバカが帰ってきたら教えてあげる」
「それって…」
今すぐではなく…ちゃんと教えると言った令美…アルは何で今じゃないのかちゃんと理解してる
「…早く帰るよ、私怒られたくないから」
「はい‼︎」
令美の言葉が嬉しかったのかアルのいい返事に令美はつられて笑ってしまった
「…今帰った」
「…えーと…ただいま」
わざわざホテルの前で待っていたウィンリィに帰ってきたアル達は少し気まずい
「ばか!おかえり!」
ラストの攻撃でボロボロのアルにウィンリィは怒りながらも帰ってきたことに笑顔でで迎えた
その後アルの右腕がもげたりして騒がしくなった…
◇◆◇◆◇◆
「なんでだ‼︎なんで生かして帰えした‼︎」
どこか暗い部屋の中、エンヴィーはキング・ブラットレイ…ラースに怒鳴った…
「奴らこの近くまで来てしかもラストを殺したんだぞ‼︎お前の役目は侵入者の始末だったろうが‼︎」
怒り冷めないエンヴィーは侵入者を今からでも殺そうと言い出すしまつで…グラトニーはラストが死んで悲しんでいた
「…ラース…なぜ焔の錬金術師を逃した…」
ラースに声をかけた者は管のついた椅子に座った…人間のようでホムンクルスのよう…異様な人物
「利用できるから生かして帰しました」
椅子についてると思った管はその者の生身の背中につながっていた…その者はその管を抜いてラースに近づいた…
「使えるのか?」
「ロイ・マスタング…彼は優しすぎる…それが強さであり弱点でもあります…
扉を開かせてみせましょう…」
ラースの言葉にその者はにっこりと笑った…
「任せたぞ…焔の錬金術師はラースに一任する…」
その者が決まれば誰もが反対することはなかった…
「…それと…もう1人…知らせておきたい人物が…
我々の最大の敵となりうる『カンナ レイミ』について…」
「…あぁ…カンナ レイミ…」
令美の名前がその者に知られてしまった…冷静に話をきいているその者の瞳の奥は狂喜に満ちていた…