うるさいんだけど



「…はらへった…」

外に追い出され1人、エドは腹をすかせてたおれていた
「ちくしょ〜アルの奴〜あの女もちゃっかりしやがって〜」
腹の音を鳴かせ2人の愚痴を言ってるエドの前に料理が出された
「…ボクに出されたのコッソリ持って来た」
「弟よ‼︎」
先程の態度が一変エドはアルに抱きつき感謝しご飯を食べだす
「どうせあの女の事だ“あいつに分ける食事なんてない”とか言って絶対くれねーと思ってたからなー‼︎神の恵‼︎」
「…あはは…(当たってる…でもその後に“小さいんだから少なくて平気でしょ”って言ったことは秘密にしとこ)」
アルは話を変える為宿できいた軍を嫌う理由をエドに話した


一方、令美のいる店では呼ばれざる客人が来ていた
「相変わらず汚い店だな…ボーリング」
「これは中尉殿、こんなムサ苦しい所へようこそ…」
青い制服を着た小柄のおっさんと体格のいい男2人…3人の客人に店の人達は顔が怖くピリピリとした空気へ変わった

「あいさつはいい…このところ税金を滞納しておるようだな…お前の所に限らずこの街全体に言えることだが…」
「すみませんね…どうも稼ぎが少ないもんで…」
食事中汚い奴らが増え令美の機嫌が下がる…話の内容では彼らが軍人で小柄のおっさんがヨキだろう

「これはこれはめずらしい、こんな汚い店に客がいるとは…」
嫌な事にヨキが令美に気づいた、美しい容姿を持つ令美にヨキが下心を抱くのは仕方ないことかもしれないが…相手が悪い
「フム…少し若いが、美しい…君、私の所へ来なさい…こんな汚い店なんかよりいい想いをさせてやろう…」
ヨキを止める者などこの場にはいない、助けてもらおうとは令美は思ってないが…

「うるさいんだけど…」

「ハァ?」
「見てわかんない?今、食事中なの…隣で下品な奴がいて、うるさいし食欲無くなるんだけど…今すぐ消えてくんない、邪魔」
ヨキはまさか令美が強気な態度で、しかも侮辱されて怒りに顔を赤くする
「…この娘…っ‼︎」
ナマイキな令美に恥をかかされヨキは殴りかかろうとするが

「…っ‼︎」
令美の殺気にヨキは気を弱くする…見てわかる小者っぷり令美は失笑

令美に恥をかかされ手も出せず、ヨキはますます怒り、八つ当たりで街の人々の給料を下げる…と暴走し始めた

そんなヨキの暴走に息子のカヤルがヨキに向かって雑巾を投げた
「中尉っ‼︎…っのガキッ‼︎」
部下の男がカヤルの行動に粛清しようとしたがヨキが先に手をだした、子供のカヤルはヨキごときの力でも簡単にふっとぶ、それに加えて部下にカヤルの死を命じた
「…本当、弱い奴ってキライ」
親父のカーリングが助けようとするが間に合わないだろう、令美は助ける気は全くなく達観、部下の剣がカヤルに襲う前、止めたのはエド

「なっなんだ!どこの小僧だ‼︎」
「通りすがりの小僧です」
剣を右手で止め、真っ二つにしたエドに周りが驚き、ヨキは邪魔して来たエドに怒り叫ぶ、が

「私この街を治めるヨキと申します!こうしてお会いできたのも何かの縁…ささこんな汚い所におらずに!田舎街ですが立派な宿泊施設もごさいますので」
エドが大総統紋章に六芒星の銀時計を見せた途端ヨキの態度は変わりエドに媚び出した、国家錬金術師というのは結構いい立場らしく、エドはヨキに接待され出て行った




        ◇◆◇◆◇◆





「ぐわーー!ムカツクーー‼︎」
「どっちが…?」
『両方‼︎』
ヨキが出て行った瞬間、店は軍人とエドの悪口で大騒ぎ

「面倒な男…簡単な方を選べばいいのに…」


その夜、ヨキの命令により、令美が宿泊してた店が焼かれ黒スミになってしまった
「…私の寝る場所がなくなったじゃん、どーすんのよ」
「オレが知るかよ、そんな事…」
焼け焦げた店の前に街の人達が集まってくる…ヨキの所から来たエドは座り込んで呆然とするカヤルを見た
「…親父が錬金術をやっていたのはこの街を救いたかったからなんだ…なぁ…エドあんた黄金を錬成できる程の実力者なんだろ?はっと錬成して親父…街を救ってくれよ‼︎」

「だめだ」
カヤルがエドに助けを求めるがエドは冷たく拒絶する…どんなに願っても“錬金術は等価交換が基本”と言って金をくれないのなら義務もない…と

「てめぇ…てめぇそれでも錬金術師か‼︎」
「…“錬金術師よ大衆のためにあれ”…か?」
つかみかかってくるカヤルをエドはただ冷たく見つめるだけ
「ここでオレが金を出したとしても、どうせすぐ税金に持っていかれ終わりだ、あんたらのその場しのぎに使われちゃこっちもたまったもんじゃねーそんなに困ってるならこの街出てちがう職さがせよ」

「小僧…おまえにはわからんだろうがな…
        炭鉱が俺達の家で…棺桶よ…」

泣いているカヤルに父親、カーリングが肩に手をおきエドに背を向けていった…その言葉にエドは何を思ったのかその場をあとにした…
「私も理解出来ないものね…」
エドを追うアルに続いて令美もエド達のあとを追った





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