程遠いんだよ
「は…はははは…無駄だよリン…」
不老不死だと言われたアルは乾笑いしてこの前知ってしまった自分の身体の真実をリンに話す
「…不老不死どころかまっとうな人並みの人生分もあやしいもんだ
時限爆弾付きなんだよこの身体」
「時限爆弾付きだっテ?」
食事や睡眠すらいらず老化しない鎧だけの身体はリンから見て不老不死に近いが…
「そう…鎧の身体に人の魂、拒絶反応という爆弾が待っているはずだ…明日かあるいは10年後か100年後か1分後か…いつその時が来るかそれはボクには分からない…
わかるだろう?この身体は不老不死には程遠いんだよ…」
アルの話はウィンリィでさえ知らなかった驚くべき悲しい話
「そんな…じゃあ1日でも早く元に戻らないと…」
「いや、待ってくれヨ」
アルの身体を心配して慌てだすウィンリィとは違いリンは冷静に仮説を話す
「その身体がやばくなったら魂を他のものに乗り換えて生き続ける事はできないカ?痛みを感じない食べ物もいらなイ便利でいいじゃないかその身体…」
「いい訳ないでしょ‼︎‼︎」
冷静に仮説を立てるリンに怒鳴ったのはアルでなくウィンリィだった
「…何も知らないくせに…」
アルの代わりに怒るウィンリィはもっとリンに文句を言ってもいいが怒ってないアルに気づいて
「…ごめん」
「ウィンリィ!」
幼馴染と言え申し訳なさそうに謝ってウィンリィは部屋を出て行った
「…バカ皇子、デリカシーもないし場所も弁えないで余計なこと言い過ぎ、後アルは追いかければ」
「は…はい‼︎」
何も分かってない男たちに黙って話を聞いていた令美もさすがに口出さずにはいられなかった
「まったく空気が読めない奴ばっか…」
「いや〜面目なイ、あそこまで怒られるとは思わなかったヨ」
ウィンリィとアルが出て行って気まずい空気を変えたいリンはまたヘラヘラと笑っていた
「あー…あっそーダ!令美ちゃんのご家族ハ?」
「……あんたって本当空気が読めない男…」
「主を侮辱する事は許しません」
空気が変えたくてリンから出た話題に令美が心底残念を見る目でリンを見た、そんな令美をライファンが黙ってはいられない
「親の顔なんて知らない…
小さい頃に私を金に変えて捨てたみたいだから
そんな奴らの事知りたくもない」
「「……」」
「だから空気が読めないって言ってんのよ…こんな話この国では珍しくないから…」
呆れてる令美に対して当の本人と部下のライファンは言い返す言葉がない…リンの空気の読めなさは勿論…自身の両親について他人事のように話す令美にも…
「……」
食事も睡眠がいらない痛みもだって感じない鎧…
「(…こんな力…
欲しくて持ったんじゃない…か…)」
欲しく無かったアリスを持ってしまったあの2人ならアルの気持ちがわかるんだろうと…令美は少し似てる彼らが脳裏にチラついた…
「(…私には分かんないから…)」
「大変そうね…彼女」
「あはは…兄さんが帰って来てくれたら…いいんですけど…」
ホテル代が払えないアル達はホテルから出ることが出来ない為、長く仕事を休んでるウィンリィは今、ホテルのロビーで仕事場に謝りの電話をしている
「(…こーゆー時アリスの方が便利、リゼンプールぐらいなら瞬間移動ですぐだし)」
大変なウィンリィとは違い苦労一つしてない令美は優雅にお茶を飲んでアリスでエドを助ける気まったく無し
「…まぁもう大丈夫なんじゃない?」
「え?」
◇◆◇◆
「…うるさいのが帰ってきた…」
戻って来たウィンリィと一緒にエドが帰ってきた…帰って早々挨拶なく、アルのボロボロ身体に叫び、勝手に大量の食事をしているリン達を追い出していた
「あーあー派手に壊したな〜足りない部分は周りから寄せるか…少し装甲が薄くなるけど…
どうした?」
早速アルの身体を早く直そうとするエドはアルの様子がおかしいのに気づき…アルはエドが居なくなってからの起きた事件を話した…
「人造人間にバリー・ザ・チョッパー…オレがいない間にえらいお祭り騒ぎだな…おまけに相入れない身体と魂の拒絶反応か…!」
話が終わるとすぐにアルの壊れた右腕をエドが直した…ひと息つくヒマなく話は続く
「アルは元に戻るよね?」
「あたりめーだ!オレが戻すったら戻す‼︎」
次はエドがリゼンプールであった事…いや、エドがした事について話す
「アル、オレなあの時錬成した母さんらしき者の遺体を掘り起こして確認してきた…」
「「な…」」