自由(あの花)





自由(あの花パロディ)

(遥落ち/あの花の登場人物は出ません、設定だけお借りしてます)



水無月 彼方 
minaduki kanata

□性格
小悪魔、いつも微笑んでる
大胆な思考回路しており
相手に無茶振りさせたりする

□好きなの
遥が泳ぐ姿、猫

□嫌いなの
魚(そのせいでハルとケンカする)

□過去
遥と真琴とは幼馴染
昔から病弱で運動はダメで休みがち
そのせいか独特な雰囲気があり友人が出来ず
遥と真琴しかいなかった
特に遥とは不思議と気が合い一緒にいることが多い

□その他
本当は水が苦手、泳げない
家は結構な金持ちで車の送り迎えは当たり前
病弱な彼方のために東京から岩鳶へ来た



□淡い、まぼろし彼方


『ハル、私の分まで泳いでね…』

 (水の中にいると彼方の声が聞こえる…)


「相変わらず気持ちよさそうに泳ぐな…」
「うん!イルカみたい‼︎」
この田舎唯一のスイミングスクールには今日も自由に泳いでいる七瀬 遥がいた、幼馴染の橘 真琴はこのスクールで仲良くなった葉月 渚と2人で自由に泳ぐ遥を見つめ笑った

「…あれは…」
頭につけたゴーグルを引っ張り気合いを入れた少年が遥の隣のコースで泳ぎ出す、イルカの様に自然と泳ぐ遥と違って彼の泳ぎはサメの様に荒々しく小学生だが速い泳ぎ
「松岡 凛君、先週俺達のクラスに転校してきた子だよ」
競い合ってないはずの2人だが競う様にゴールした2人…先についた遥に真琴が手を差し出す
「やっぱり水の中じゃ最強だね…ハルちゃん」
「俺のこと“ちゃん”付けで呼ぶのそろそろやめろよ」
真琴の手を掴んでプールからあがった遥に人懐っこい渚も近づいた
「すっごくカッコよかったよ!七瀬君!僕もあんな風に泳ぎたいなぁ…」

「噂通り速いな…タイムは?」
凛がプールからあがらず遥に自己ベストを聞く…が
「タイムに興味はない」
タイムにこだわる凛のは違って競走に興味ない遥はその質問に答えなかった
「くっ…ははっ‼︎そーゆところも噂通りだ」
冷たい返事する遥に凛は怒るどころか笑ってプールからあがり遥に向かい合う

「…なぁ七瀬、今度の大会、俺と一緒にリレーに出ないか?」
「……俺はフリーでしか泳がない」
突然の誘いにも遥は素っ気なく拒否してまたプール…水の中へ飛び込んだ

 肌で、心で、水を感じる
      遥は水と自分が溶け合うように泳ぐ


『私…遥が泳ぐところ見るの好きよ…』


泳ぎ終わった遥が水から顔を出してプールを一望出来る観覧席を見る、観覧席の特等席と言うべき場所にはいつも少女が座っている
『今日もキレイね』
遠くからでも少女が言った言葉を理解した遥は返事することなくまた泳ぎだす…その姿を見守っていた真琴がニコニコしてたら少女と目が合いお互い手を振って挨拶…

 そんな毎日がずっと続くとみんなが思った…

        ずっと続くと…


******





『水無月彼方さんが数日前、持病の心臓病の発作により緊急手術をし、病院へ入院した話はこの前みんなに話しましたよね…』

それは夏の終わり、少し肌寒くなってきた空気だが空はすごくきれいに晴れていて寒さをあまり感じない日だった…

いつもは明るい先生が今日は顔色悪く無表情に近い…生徒たちはいつもと違う先生に少し恐怖を感じて誰も声を出さずに静かに聞いていた

 その中には凛も真琴も…遥もいる

『…ですが先日…また発作がおきて…彼方さんは…』

遥は先生が何を言ってるのか分からなかった…

彼方が手術したことは遥は知っていた…親から成功したと、見舞いにも行った…その時はやっぱり辛そうだったが元気になると本人が言ったのを遥は聞いたのに…

毎日…一緒に登校して、話して、下校して、スイミングの観覧席に座る少女を遥は見ていた…声も聞いていたが…

    少女の声が聞こえなくなった





******



あれから数日、遥は時間の許す限り泳ぎ続けた…遥は気づいた、水の中では彼方の声が聞こえることに…遥は彼女を求めて泳ぎ続ける

元々表情豊かではなく自分の気持ちを中々言わない遥がいつも通り泳いでる姿に周りの人達は遥の変化に気づかない…中には薄情だと思う人もいる

だがその変化に真琴は気づいた

いつも自分のため、水を求めて泳いでいる遥が別の何かを求めて必死に泳いでることに



「ハル…今日はもう帰ろう」
「……もう少しだけ」
暗い表情でいつもみたいに“ハルちゃん”と呼ばない真琴に遥は気づかず、また泳ごうとする


 「…っ……、いくら泳いだって…

          彼方は帰ってこない…」

「…」


真琴は今の遥が見てられなかった…前はもっと自由に泳いで気持ちよさそうだったのに今は必死で苦しそうだから…真琴は言いたくない言葉を口にした…本当は真琴だってこの真実を受け入れられないのに…
「…」
遥も真琴の気持ちが分かってる、だから怒りもなく悲しみだけが残る…そしてまた泳がずにはいられなかった…

「…ハル」



******




『ハルが私の代わりに泳いでくれたら…』


水の中にいると彼方の言った言葉一つ一つ思い出す…彼方は幼い頃から身体が弱く運動はもちろん泳げなかった…なのにスイミングスクールに来ては飽きもせず見て言うのだ…彼方は笑って言う…


『私も一緒に泳いでるみたいで、ワクワクするの』

『だからずっと泳いでよ…私のために…ハルのために』


と…無茶苦茶言う彼方…

(でも…今は無茶でもなんでもいい…泳いで…

     もう一度、声が聞たい…)





『そんな泳ぎ方、ハルらしくないよ

    見ててつまんないからもうやめたら?』

賑やかなプール場で、聞こえるはずのない声が遥を止めた…泳いでいた時に聞こえる声とは違いクリアな、そしてトゲのある発言に遥はゴーグルを外して声のする方へ見る…

プール場では見ることないふわりと靡いた白いワンピースを着た少女が遥を見下ろしていた…

    遥が会いたかった…彼方が…

 『…ハルが寂しがってるから会いに来たよ

     どう?うれしいでしょ?』


   やはり、いつもの様に笑っていた…




*******

あの花パロディどうでしょう?
これは勢いで書いたもので最初はあの花みたいに夢主は元気な女の子でしたが…あの花に引きずられすぎたろうと葉月と被ると気づきキャラ変。それと幽霊になり遥の前に姿を現す時代もまだ悩み中〜小学生からがいいのか高校からがいいのか…ん〜







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