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03 >> 見知った人に  [2/6]

 


「あっアニキー!!お帰りなさい!」
「おう!荷は運び終えたか?」
「はい!」
「あっアニキ!!怪我はねえっすよね!?」
「そう言ったろ?」
「アニキだー!!」



(おおー、さすがはアニキ、人望篤いな…!!)

てこてことアニキの後ろを着いて行くとアニキが宣言したとおり城っぽいところに到着し、
アニキが皆さんとコミュニケーションを取っている所だ。…楽しそうだなー。今のうちに携帯を確認しておこう。



(やっぱり圏外か…これでは鵺宵の安否さえ問えない。)



「悪ぃな野郎共、客が居るから後だ。」
「「「「「うっす!!」」」」」



(データは無事、本体にも目立った外傷無し…電池も充電してたからフル。バッテリー変えたばっかで良かった。)



ゆっくりと携帯を胸ポケットに入れ、思考を進める。



(やはり夢が原因と考えるのが一番…しかし夢にそんな力があるとは考えにくい。
とすれば何者かによる故意…しかし誰が。そして、最後に聞こえた声は)



そこまで考えた思考はいきなり腕を引っ張られ、一時中断する。


(何の用だ)


考えを遮られるのは非常に気分が悪い。それも今回は結構な重大さが伴っている。
咄嗟の事で反応できず、つい昔の目で引っ張った犯人の目を見てしまった。



「あ…」



(野郎共さんの1人だ。怯えさせてしまった)
急いで体に入っていた力を抜く。これで目は戻ったはずだ。



「?」
「あ…アニキが…」
「…(…呼んでた?)」
「いや…その…ア,アニキが…」
「…(それは聞いた。用件を口にしろ)」



なかなか話を進めない野郎共1に苛立つ。きっと今は自然に昔の目に戻っているだろう。

(駄目だ、戻さないと…っ)

苛立ちを全力で腹の底に留め、緩く笑って先を促す。



「?(どうしたんですか)」
「…アニキが…呼んでました…」
「(教えてくれてありがとうございます)(ぺこっ」



(だから最初にそう聞いただろうが。読唇術も出来ねえのか、使えない奴…
っあー!駄目だっこういう事思ったら!あの人だって頑張ったんだから…ってか悪いの私だし!ごめんなさい!)



身振り手振りでなんとかアニキのところへ行こうと試みるが如何せん言葉が使えないのはイタい。
まるで外国にでも居るようだ。これからは少し言葉に感謝しなければならないな。



「!」



角を曲がれば、同じように反対方向から曲がろうとした人にぶつかってしまった。
どうやら相手も倒れていないらしい、私は鼻が痛い。
双方少し急いでいたためか、止まるという事を実行できなかった。
私の頭の中には言わずもがな「廊下走るな」の文字が点滅している。



「…!(すいません、少し急いでいたもので)(ぺこ」
「随分探しちまったじゃねえか、どこ行ってたんだ?」
「(へ…あ,アニキか)…(ぺこ」



私どんだけ頭下げるんだろう。



「まぁいい、こっちだ。ずっと歩きっぱなしで疲れたろ?」
「(いや、別にそんな)」
「っと…これじゃ見えねえな。よし、肯定なら一回、否定なら二回握れ。わかったか?」



声が出せない私の反応を知る為、と多分もうはぐれない様にする為、アニキは私に手を差し出した。

(別にはぐれようと思ってはぐれたわけじゃないんだけどな…)

それでも絶対にはぐれないという確信は無い。それに問答が出来ない。
出された手を取り、1度軽く握った。


するとアニキは私と“話”が出来たのが嬉しいのか、嬉しそうににか、と笑って私の手を取ったまま歩き出した。




(なんてまぶしいひと)



 

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