プロローグ

中学生に上がって双子が周りからも認められてきた頃だろうか。
双子に“ファン”がついてバレンタインやクリスマス、そして誕生日に溢れんばかりのチョコやプレゼントが双子に配られるようになったのは。

最初の頃はもらっていた二人もお返しが面倒くさいと言って今は受け取ることはしないけれど、自分の片想いの相手がモテるのは正直心がざわついて仕方ない。

幼馴染で双子の唯一ともいえる女友達の私は、自分の想いを直隠しにして今年も彼らに同じプレゼントを渡すのだ。

そのつもりだったのに、今年はどういったわけか侑が「プレゼント受け取ろうかな」と言い出して、治までもが「物に罪はないしな」と言う始末。

プレゼントを受け取る、つまりは女の子の気持ちを受け取るというのだ。

「好きな子でも出来たん?」

否定の言葉がほしくて声が震えないように精一杯平生を装って聞いたのに、返ってきた回答は「まあ、そんなとこやな」という私を絶望へと落とす言葉だった。

「ほんなら私のプレゼントはもういらへんな」

二人は互いに顔を見合わせて一言「せやな」と頷いた。

なんで、どうして、なんていくら言っても足りないくらいだったけれど、これは今まで幼馴染という立場に胡座をかいていた私への罰だったのかもしれない。

二人の顔を見るだけで辛くて、その日から側から見てもわかるくらいに二人を避けた。

朝いつも一緒に行っていたのに、双子が来る前に家を出て学校へ行くし、帰りは部活が終わるのを待つことなく家へ帰った。

流石に何日かすると怪しまれて二人から個別のLINEで私の意図を聞こうとされたけれど、『彼女できたら勘違いされてまうやろ』と返してその後立て続けに鳴ったメッセージは開くこともしなかった。

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