まず目に入ったのは、見慣れない無機質な天井だった。リノリウムの床、シンプルなパイプベッド、ベッドの脇には点滴架台、そしてメディカルコンソールユニットが埋め込まれた壁。
ゆっくりと身体を起こし、窓の外を見やった。銀色のサッシのむこうに広がる景色は、見慣れたもののように思われる。おそらくここは、雄英高校からもっとも近い場所にある、総合病院の一室だろう。
だが、わたしにとってもっとも大きな問題は、「今がいつの時代か」ということだった。過去なのか、現在――これはわたしから見てという意味だ――なのか、それとも、どちらでもないまったく別の時代なのか。
小さく息をついた瞬間、扉が開いた。
入ってきたのは、わたしが死ぬほど会いたいと願い続けていた、金色の髪の長身痩躯。
「なまえ!」
蒼白な顔をして、マイトさんがわたしの名を呼んだ。若い彼を見慣れてしまったせいだろうか、マイトさんの鋭角な顎が、ますます尖って見える。いや違う、実際に彼は痩せてしまっていた。
おそらくわたしのせいだろう。事故とはいえ、ただでさえ忙しい人に心労をかけてしまったことを、申し訳なく思った。
「目を覚ましたんだね、私がだれだかわかるかい?」
「……マイトさんでしょ?」
応えると、彼は明らかにほっとした顔をした。
マイトさんはコットンの長袖シャツにワークパンツを着ている。ということは、こちらはまだ秋のなかば。わたしがいなくなってから、たいして日がたっていないということだ。
「心配したよ……意識が戻って良かった」
「わたし、気を失ってたの?」
「そうだよ。君は戻ってきたと同時に気を失ったんだ。雄英の向かいにそびえる山の頂でね……」
マイトさんの話によると、根津校長の指示により山頂で待機していたヒーローにわたしが発見されたのは早朝だそうで、過去へと飛んだ時同じように、時間にずれがあるようだった。
またこちらの世界でわたしがいなかった時間は二日だそうで、これにも多少のずれがあった。
戻ったわたしは、そのまま丸一日眠り続けていたという。過去に飛ばされた時にはまったく平気だったのに。
だが一瞬にして時空を移動した行きと違い、帰りはじわじわと身体が失われていくような感覚があった。そのぶん肉体が消耗していたとしても、不思議なことではないだろう。
「……そうだ。あの子は?」
「君が助けようとした男の子かい? 大丈夫、無事だよ」
「よかった」
ほっと胸をなで下ろした。
あの時、階段から落そうになった子どもに手を伸ばさなければ、きっとこんなことにはならなかっただろう。
けれどそれに対する後悔はない。見過ごすことはできなかった。
手のひらから、ほんの少しの風が出せるといった、そんなちっぽけな個性しかないわたしだけれど。
「マイトさん。あのね……」
続く言葉をどう切り出すか少し悩んだ。なにしろマイトさん本人は過去に飛んだわたしと過ごした記憶がないのだ。
ところがマイトさんは、わたしの予想に反して、しずかに微笑んだ。
「うん。大丈夫。ゆっくりでいいよ。だいたいのことは根津校長から聞いているから。……とにかく災難だったね」
「大丈夫だったのよ……向こうで若いあなたに出会えたから」
「うん」
「若いあなた、とてもカッコよかった」
「そうかい?」
「ええ。同じクラスにあなたがいたら、きっと好きになっちゃってたな」
「ずいぶん簡単なんだな」
言葉とはうらはらにまんざらでもなさそうな顔で、マイトさんが笑んだ。少し乾燥した肉付きの悪い顔に浮かぶ、愛しい愛しい笑いじわ。
ああ、本当に戻って来られたんだ。
「マイトさん。手、握ってくれる?」
いいよ、と、マイトさんが大きな手を差し出した。ごつごつとした指に、そっと触れる。この手に初めて触れた時のこと、わたしは今でも覚えている。
高層ビルの谷間に咲いたあじさいをふたり黙って見つめながら、わたしから触れた。長く太い指、を握りこむようにして。
マイトさんはその時、そっとわたしの手から指を引き抜き、すべての指を絡ませるようにして、恋人つなぎをしてくれた。
それと同じことを若いあなたにしたと言ったら、マイトさんはどんな顔をするだろう。
俊典くんの手はいまのマイトさんの手よりひとまわり小さくて、もうすこし滑らかだった。こんなふうにかさついてもいなければ、血管が浮き出てもいなかった。
でもこの手こそが、わたしの大好きなマイトさんの手。
ごつごつしていて骨張っている。ややかさついた、わたしを安心させる手だ。
その安心できる手を、自分の頬に押し当てた。不意にこぼれ落ちた涙が、マイトさんの甲を濡らす。マイトさんは少し驚いた顔をしたけれど、特になにも言わないで、反対の手でわたしの頭を撫でてくれた。
「会いたかった……」
「私もだ。根津校長からは必ず帰って来ると言われていたけれど、君がいなくなってから今日まで……ほんとうに生きたここちがしなかったよ」
まっすぐわたしを見つめてくる、晴れわたった空の色をした瞳。
なまえ、と、また彼がわたしの名を呼ぶ。その声のやさしさとあたたかさに、またひとつ、涙がこぼれた。
「特に異常はないってお医者さんは行っていたけど、少し混乱しているだろう? 少し一人になって気持ちを整理したいかい? それとももう少し眠る?」
たしかに少し眠りたい。なぜかはわからないが、ひどく疲れていた。
それでも、ひとりにされるのはいやだと思った。
マイトさんに、側にいてもらいたい。
「あのね、眠りたいんだけど……寝ている間、このまま手を握ってもらいたいの……わがままかな?」
え、と真顔で呟いたあと、マイトさんは吹きだした。笑いながら彼は言う。
「なんだい。ずいぶんしおらしいんだな。君、本当になまえかい? まるで別の人みたいだぜ。ちゃっかりしていて、図太くて、図々しいのが君だろう?」
「ちょっと、それひどくない?」
ごめん、と言って、マイトさんがわたしの髪の毛をさらりと梳いた。
「でもさ、わがままなんて、いくらでも言ってくれよ。……今はいくらでもきいてやるから」
「ありがとう……」
そして落とされた、かわいた唇。
久しぶりの彼からのキスを受け止めながら、そっと目をとじた。
ぼんやりしてきた脳裏にふんわりと浮かんできたのは、あの日の出来事だった。
*
「あ、キンモクセイ」
ただよってきた甘い香りに、ご機嫌な声をあげた。
雄英が全寮制になり、早ひと月が経過しようとしている。いつまでも暑いと思っていたけれど、気づけばもう秋。遊歩道を散策するには、もってこいの季節だ。
かつては雄英の敷地ではなく国立公園の一部であったというこの遊歩道は、木々が多く緑もゆたかだ。道には起伏があり、少し進んだ先は下り階段があった。その昔は小さな崖であったらしいが、おおよそ百年ほど前……国立公園の一部となった際、人の手が加えられたときいている。
現在は雄英バリアで守られたの土地内にあたるため、関係者しか入れない。
雄英在学中、マイトさんはこの道を毎日走っていたという。
マイトさんはどんな高校生だったんだろう。まじめだったんだろうか。いや、もしかしたら、意外とはっちゃけていたのかもしれない。案外めだちたがりなところのあるひとだから。
女の子にモテていたことだけは間違いない。なぜって、若い頃のマイトさんは、正統派のイケメンだったから。
若い頃の夫に想い馳せつつひとり微笑んだその時、正面から小さな男の子が駆けてくるのに気がついた。
一般には知られていないことだが、ヒーロー業界には「雄英預かり」という言葉がある。一般で暮らすには危険な個性を持ちながらそれをコントロールできない子や、敵に利用されていた子など、いわゆる訳ありの子どもたちを雄英教師が保護することがそれにあたる。
例えばリカバリーガールのところにはエキゾチックな美少女がいるし、雄英教師寮には――相澤先生が主に面倒をみている――小さな女の子がいる。
正面から走ってくる男の子は、根津校長が面倒を見ている子だ。
とはいえこの子は二人の少女とは違い、職員寮の一室に家族とともに住んでいる。母親が雄英の事務員だからだ。
なんでも時空を歪ませ、手にした生物を別の時代に送るといった特殊な個性の持ち主らしい。しかもコントロールがうまくできず、ちょっとしたきっかけ……例えば驚いたりしたときに個性が発動するときく。移動するのは時間だけで場所は変わらないことと、時間さえ経てば――早ければ数分、長くて五日ほど――無事に帰ってこられるらしいのが不幸中の幸いだが、危険な個性であることにはかわりなかった。
百年前に飛ばされて五日間乗り切れるかと聞かれたら、大抵のひとはノーと答えるだろう。もちろん、わたしにはとても無理だ。
一息に急な階段を駆け上り、子どもはわたしの目の前で最上段にある欄干によじ登った。
あぶない、とわたしは心の中で声をあげ、子どもに駆け寄る。それとほぼ同じタイミングで、子どもと追いかけてきた母親が、悲鳴にも似た叫びをあげた。
「降りなさい! 危ない!」
ところが、この声かけは、彼女が意図したのとは正反対の、最悪の方向に働いた。
声に驚いた子どもが、バランスを崩したのだ。
わたしは反射的に手を伸ばした。しかし、かろうじて男の子の衣服を掴むことができたものの、勢いがついた人間の身体を受け止められるほど、わたしの体幹は鍛えられてはいなかった。
「きゃー!」
「わぁー!」
勢いに負けたわたしは、男の子を腕に抱いたまま、階段の一番上から転がり落ちた。
――そして、気がついた時には過去にいた。幸いにして、怪我はなかった。
「……時空を移動して過去にきちゃったってことかな……」
思わずちいさく独りごちた。
時空を移動したのは、まず間違いないようだった。なにより、さっきとはまるで気温が違う。
薄手のカーディガン一枚では凍えてしまいそうだ。落葉樹の葉がすっかり落ちきっていることから、晩秋であることは間違いなかった。
遊歩道の先に、四阿と売店が見えた。あれはわたしの時代にはなかったものだ。売店があるということは、この遊歩道がまだ国立公園の一部であったころなのかもしれない。
「雄英の敷地になったのっていつだっけ……マイトさんが高校の時は公園だったって言ってた気がするんだけど……」
ともあれ、現金が使えることを祈りながら、売店へと向かった。
売店の入り口に、小さな冊子が数冊置いてある。国が作成し、無償で配布している、公園のパンフレットだ。こうした小冊子の中には、作成年月日が記載されているものがたまにある。
わたしは中を確認し、そして大きくため息をついた。そこに記されている年は、わたしがいた時代より、四十年近くも前のものだったからだ。
「……どうしよう」
うろ覚えだけれど、たしかこの少しあとに、お札が一新されたはずだ。つまり、わたしが今持っているお金は、まだこの世にはないデザイン。
慌てて小銭を確認したが、この年代のものは、当然ながら二枚しか入っていなかった。
つまりわたしはほぼ一文無し。もちろんカードもスマホも使えない。
泣きそうになった。いや、実際のところ少しばかり泣いた。
十分足らずで戻れるのならいいけれど、五日も飲まず食わずで過ごせる自信はない。そして上限が五日というのも確定ではなかった。いままではそうだったというだけで、わたしがその期間で帰れる保証はどこにもない。
いずれにせよ、この寒空に九月の格好では凍えてしまう。
ゆるやかに闇が広がっていくように、わたしの上にゆっくりと絶望が降りてきた。
どうしたらいいんだろう。
はじめは警察に保護を求めようと思った。けれどいくら個性時代とはいえ、こんな荒唐無稽な話を、はたして信じてもらえるものだろうか。この時代の個性事故への対応は、どの程度だったのだろう。
せめて知っている人と出会えればいいのだけれど、グラントリノさんとか、リカバリーガールとか。けれど、出会えたところでどうなるものでもないだろう。こちらが勝手に知っているだけで、この時代の相手はわたしのことなど知らない。なにしろ、こちらのわたしはまだ生まれてすらいないのだ。
わたしは売店から一番近いベンチに座りこみ、呆けたように空を見上げた。西の空はすでに赤い。もうすぐ夜がやってくる。
そこに、雄英のジャージを着た金色の髪の青年が通りかかった。その青年の顔を見た瞬間、わたしの上に金色のひかりが降り注いだような気がした。
すべての闇を駆逐して光り輝くその青年は、地上に降りた太陽だ。
それは未来のオールマイトの、若かりし頃の姿だった。
*
「なまえ。今夜、ふたりで星を見に行かないか?」
マイトさんがそう言い出したのは、十一月の終わりの、よく晴れた朝のことだ。
「今日ね、流星群が見られるそうなんだよ。あの時見られなかった流星を、今度こそ一緒に見ようじゃないか」
「あの時って……」
ん、と、マイトさんがやや照れくさそうに笑った。
「実はね、君が過去から帰ってきた日から、少しずつあの時のことを思い出しているんだよ。記憶を消した人がね、そういうギミックを仕込んでくれていたみたいで」
「そうなの? ……粋なひとね」
「うん。だからさ、今度こそ一緒に流星を見ようじゃないか。今日は定時で帰って来られるはずだから」
事実上の引退を果たしたはずのオールマイトだが、その生活は相も変わらず多忙である。
詳しい事は聞かされていないが、ここ最近は、警察と連携しつつ敵の調査にあたっているようだ。学校の授業の合間を縫って、東へ西へ、全国各地を飛び回る。
そんなマイトさんが定時で帰って来るのは、実に珍しいことだった。
「ん、わかった。ところでごはんはどうしようか。お弁当にして向こうで食べる? それともうちで食べてから行く?」
「星が流れ始めるのは九時すぎだから、家で食べてから出かける、という形にしてもいいかい?」
「もちろんよ。場所も同じよね? でも、どうやって行くの?」
わたしを乗せて飛ぶのはもうつらいよね、という言葉を、かろうじて飲み込む。察したであろうマイトさんが、少し目を細めて、ちいさく笑った。
「同じ場所じゃなきゃ、画竜点睛を欠くというものさ。今はね、山頂まで車で行けるんだ。だから、車で」
車で、と連呼したときの、得意げな顔がかわいかった。
最近、マイトさんはエルクレスという車を買った。三日ほど前に納車されたばかりのそれは、特殊装甲が施された、いわゆるスーパースポーツカー。
「……流星群は口実で、新車を乗り回したいだけなんじゃないの?」
「そんなことはあるものか。私はね、三十五年以上も前からこの日を待っていたんだよ。と言っても、最近まですっかり忘れていたけどね」
おどけた調子でウインクしながら、マイトさんがわたしの額に行ってきますのキスをする。
あの日々を忘れてしまったのは、彼のせいではない。未来が変わることを危惧した、わたしを含めたおとなたちのせいだ。
それを一言たりとも責めたりはせず、こうして笑い話にしてくれるマイトさんは、やっぱり大人でやさしいと思う。
***
「わ、また流れた」
ひとつ、ふたつと流れてゆく星に、わたしは感嘆の溜息をもらした。
本当に、想像以上の光景だった。
硝子に当たった雨粒が重力に負けて流れ落ちるように、星々が青白い光の尾を引いて流れてゆく。次から次へと。
それはさながら、漆黒の空を彩る光のシャワー。
「すごいのねぇ」
「だろう?」
と、得意げに呟きながら、マイトさんがわたしを引き寄せた。
きっと、寒くはないかと心配しているのだろう。彼はやさしい人だから。
けれど、寄せ合う身体と、断熱材入りのシートと熱々の紅茶と、そしてブランケットのおかげで、山頂は想像していたより寒くはない。
「十七歳だった私はね、これを君に見せたかったんだ」
「……ありがとう」
ふ、とマイトさんが微笑んだ。
うすいくちびるの端からもれているのは、白い息。
マイトさんは、コヨーテファーをあしらった、防寒性の高いアメリカ製のフライトジャケットを身につけている。けれど肺が片方ない身体に、この寒さは堪えるはずだ。
それでもこの優しい人は、笑顔を絶やさない。このひとは本当の意味で強いのだ。この印象は、出会ったばかりの頃からかわらない。
折れそうな細い身体をしているのに、決して折れない心を持った、強いひと。
「紅茶、おかわりする?」
「もらおうかな、ありがとう」
蜂蜜入りの紅茶を手渡して、わたしもマイトさんに倣って微笑んだ。「寒くない?」と彼がたずね、「だいじょうぶ」とわたしは応える。
「言われたとおり、おなかに携帯用カイロを仕込んであるから」
ほら、とダウンコートの前をはだけて見せると、マイトさんが眉をひそめた。
「わざわざ見せなくてもいいよ……だいいち、あまりにも色気がない」
「あら、これくらいしないと、わたしのかわいさにマイトさん吐血しちゃうでしょう?」
「君は本当に図々しいよね」
「そんなところも好きでしょう?」
まったく、とマイトさんが呆れ顔になって、急にわたしの耳元に唇を寄せた。
「好きに決まってるじゃないか。マイハニー」
耳孔に注ぎ込まれた甘い低音に、身体の奥がぞくりとした。思いもしないところで発揮された、大人の色香。
「な。色気っていうのも多少は必要だろ?」
「……ばか」
「そんなところも好きだろう?」
先ほどのお返しをされたようでなんだか悔しかったので、もう、と言いながら彼の脇腹をひじでつついた。即座に帰ってきたのは、痛い痛い、という抗議の声だ。
「そこは弱いって前から言ってるだろ。まったく。わかっててここ攻撃してくるの、敵以外では君くらいだからな」
言葉ほどは怒っていないことが、声のやわらかさと表情でわかる。こういうとき、わたしは甘やかされていると思う。年の離れたやさしい夫に。
「ま、ともあれ、この光景を君と見られてよかったよ」
「わたしも、マイトさんと見られて良かった……ね、ところでひとつ忘れてない?」
「なに?」
「覚えてる? あの時、未来のためにとっといてって、わたしが言ったこと」
なんだ、とマイトさんがやわらかく目を細めた。
「覚えているに決まってるだろ……と言っても、思い出したのは最近だけど」
と、マイトさんが笑いながら天を仰いだ。わたしも自然と、それに倣う。
墨を刷いたように真っ黒な空のなかを、長い長い尾を引いて、次から次へと星が流れる。天が織りなす光のショーを、わたしたちはしばらくのあいだ、共に見つめた。
「ね」
流星群を眺めながら、わたしは甘えた声を上げた。うん、と応えたマイトさんが、わたしに向かってかがみ込む。
近づいてくる、肉付きのよくない、けれども彫りの深い顔。その向こうには、広がる漆黒の空と、青白い光のシャワー。
「わたしを見つけてくれてありがとう」
「それはこっちのセリフだよ。もう一度私の前に現れてくれてありがとう」
至近距離でふふ……と微笑みあったあと、そっと目を閉じた。乾いた唇が、しずかにそしてゆっくりと、わたしのそれと重なる。
わたしたちは長い長いキスをした。
流れ続ける、星々の下で。
2021.12.16
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、実はこちら「1ダースの薔薇をあなたに」の番外編です。あちらに掲載するより分けた方が面白く読めるかなと思ったので分けました
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