ザァァ――――
その日は、朝から雨が降り続いて、とても寒い日だった。何だか獅郎さんが泣いているみたいだな。なんて、暗い空を見上げながら、あの人に一番似合わない、あの人の泣き顔を想像してみた。――やっぱり彼の泣き顔なんて想像できないや。今日は彼の、藤本獅郎の葬式である。
「名前さん?」
「…雪男君」
一人、暗い空を眺めていると、背後から聞きなれた声に呼ばれた。ゆっくりと振り返ると予想どうりの人物が、なんとも言えない表情を浮かべて立っていた。
「来てくれてたんだね」
「うん、獅郎さんには、すごくお世話になったし」
「きっと、神父さんも喜んでるよ」
「うん、そうだと、いいな」
雪男君との会話は、そこで一旦途切れた。暫しの沈黙――
なんだか、心にぽっかりと穴が空いたみたいに感じる。こんな状態じゃあ会話をする気にもなれない。大切な、身近な存在の突然の死は私に想像以上の衝撃を与えているようだった。雪男君はきっと、私なんかよりも、もっときっと、数百倍苦しくて、悲しいはずだ。だから、私なんかが、泣いちゃダメだ。
「…っ…」
「…名前さん」
私は溢れそうになる涙を必死に堪えた。その時――
「祓魔師になってやる!!!」
「「!」」
不意にそんな言葉が聞こえてきた。バッと背後を振り返ると、少し遠くの方に雨に濡れた黒い背が視界に移った。彼は――
「…兄さん」
「……あの人が」
奥村燐。
雪男君の双子のお兄さん、そして――
「サタンの…落胤」
to be continued