つり目の生活me
▽2021/01/12(Tue)
2021
年が明けましたね、遅ればせながら明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します
昨年の年末で会社を退職した。厳密には、まだ在籍はしているけれど、もう出勤はしない。そして、心の整理も
もうついた。
今は転職活動中、転職サイトを見ては、良さそうなものをただキープしていくという単純な作業をしている
正直、退職時も、年が明けてから暫く経ってからも、約二年半も居た会社だったし、本当に好きだったから、未練の残り具合といったらなかった。
でも、本当に、つい二日前かな、
綺麗サッパリと、未練が無くなった。あれだけ好きだった会社だったのに。自分でも驚くくらいの変わりようだった、
結局、再び緊急事態宣言が出て、あの会社も再び臨時休業となった。目安は一ヶ月程度のものだが、また延期になるかも知れない、どうなるかはまだ、分からないけど
虎さんも、また昼職のような時間帯の勤務となり、私達は今、サイクルを完全に逆転させて、二人共朝から目覚め、夜には就寝するという健康的な生活を始めている
本来はこっちが正しいサイクルだ。
数日前に、彼と喧嘩をした、
夜の散歩に私が出歩いた際に始まったものだった。報連相がどうだ、心配と束縛は違うだのから始まり、LINEで初めて本音をぶつけたかも知れない。相手がどれだけ傷つこうが構わないつもりで言った言葉だった
そして、それが原因で別れることになったとしても構わないとさえ思った、あの時の私は完全に情緒がおかしかった。
けど、あの夜、散歩に行ったことに後悔はしていない、
冬の夜の散歩に一人で出歩いたのは久し振りだった。夜職に就いてからというもの、休みの日は買い物かデートくらいでしか外に行かなかったし、それ以外は勤務時間だったため、一人で宛もなく、というのが久々だった。
久々に全力で味わう、ただただ宵の静けさと、乾いた、少し鋭さを持つ淡い空気の匂いと、暗い夜道が美しかった。遠くに見える、見知らぬ駅の明かり、季節外れのネオン、閉じたシャッターの店々、この街でも良かったかも知れないと思う、下町情緒が懐かしくて、吹っ切れていなかった私にとって、あまりに豊潤な刺激だった。
あの時の私にとっては、必要なことだった。それは紛れもなく、一切の間違いも無く。
このコロナ禍、会社を辞めるなど間違いだったのではないか、あそこで出会った人達に会いたい、寂しい。そんな複雑極まりない、何ともやり切れない、腑に落ちないもやもやを抱えていた私にとって、あの夜の静けさと風の鋭さは必要だった。あの、空気の匂いも
それでも、彼を傷つけて非難したことは時間が経つごとに自分の中に後悔として残った。あんな事言わなければよかった、とも思ったし、何で解ってくれないの、とも思った。
そして、その後からどうしても、彼の言動、行動に違和感を感じることになる。
その後、二日程度のギクシャクを経て、二日前、買い物ついでに隣町の喫茶店に一人出掛けた。そこで、二時間程度、新しく買ったノートに自分の中身を吐き出した。
そうしたらね、笑えるくらい前の会社への未練が無くなった。無くなったんだよ、全部。本当に全部、何で私があそこまで固執していたのかも分からなくなったし、もう自分はあっち側の人間ではなくなってしまった。
夜そのものでもなくなってしまったし、 かと言って、別に朝と昼が好きなわけではないけれど。
思考は一気に切り替わり、夜から朝へ。「異常」から恐らく、「正常」へ。セックスだって、正常位が好きなのに、ね。バックもお好き、なあんて
自分の中で、確実に、それはとてもとても確実に、何かが崩れて消えた。変わった。変わってしまった。
以前の思考の仕方が分からなくなった、そして私は、染まっていたのだと知る
まるで洗脳されていたかのように、今までの自分が何かに取り憑かれていたのではないかと思うほどまでに、何かから解き放たれたかのように、思考が切り替わる瞬間を自分の中で感じた。
すると、途端に、彼が言ってきたことの全てが理解できてしまった。
それは、驚くほどまでにするりと自分の中に入り込んで、流れてきて、端々まで理解した。
自分の中の異常性に気付いていなかった。そして、間違いなく私は染まっていたのだと
今まで、正直な話、彼の言う「距離感」の話も理解が及んでいなかった。何故、そこまで言われなくてはならないのだと、本音を言うと少し煙たい気分でもあったし、正味腹立たしかった。
そして適切な距離というのも理解していなかったし、何故対面でなくてはならないのか、など色々納得いかないことが多かった。
思考が切り替わった瞬間に、全てを理解したし、感じ方も咀嚼の精度もまるっきり変わった。なるほど、そういうことか。今ならもう、適切な距離というのをわざわざ意識して苦行に感じることもなく、無意識にでも距離を取れる。
それから、それ以外も全て、彼が今まで私に散々に言ってきたことの殆どが理解できた。
が、あの会社で、女性であることがネックとなる。
なるほどね、会社としてもネックなのだ。マネージャーがどうしてそこまで女性社員を嫌うのかも、どうして虎さんが私を「女だから」と言ってくるのかも。
普通の、というか、オーセンティックバーだったり、あくまで「酒を飲む場」であるだけなら、別に女性バーテンダーが居てもいいのだろう。
事実、少なくはあるが女性バーテンダーは実際に居る。有名な人も居るし、有名でなくても、しっかりプロとしてやっている、という人も勿論居る。
でも、うちの会社はそうじゃない。
スタッフがバーテンダーとして欠落している、という訳ではないけれど、距離感が近すぎるのだ。
今まで、ずっと飲食業でしか勤めて来なかった自分からしたら、飲食業なんてそもそもが距離感が近い所が多いし、だからこそ異常性に気付かない。
コミュニケーションの一環だと信じて疑わなかったし、そもそもそこまで距離をとったら相手を傷つけてしまうのではないか、とすら思っていた。
それは相手も飲食業に染まっている人達が多いがゆえに、相手の距離感もまた異常なのだ。そして、飲食歴が長ければ長いほど、その異常性に気付けない。
そもそも飲食業といえば、長時間勤務かつ休みが少ない会社の方が多いわけで。如何せん、自分も色々転々としたが
、それでもホワイト企業だと言えるような会社なんて一つもなかった。
休みが少ない上に長時間同じ仲間と居るのだ。スタッフ同士の距離は必然的に近くもなるし、「戦友」という名目のもと、自然と密なコミュニケーションを取るような流れが当然となる。
実際、この仕事は複数人で回す店舗であればあるほど、よりチームワークが必須となってくるため、どうしても不和を生み出したくないのだ。
前職でも、前前職でも、似たような距離感だったし、特にあの会社は一番距離感が近かった。
かつ、客も常連が多くなっていけば、必然と近くなっていく。
そのシステムを、私は「善」として疑わなかったし、だからこそ何故そこまで執拗に言われなくてはならないのだと思っていたし、指摘される距離が「近い」とも思わなかった。
それが、切り替わった瞬間に、何もかも自分の常識が、これまでの経験が、そして考え方が崩れ去っていくのを感じた。
だからこそ、今は適切な距離も分かるし、彼の言ってきたことが理解できる。そして、会社のこの先進む方向性も、取締役が考えていることも、上層部の社員達が彼を含め本音で何を考えているのかも、今なら理解できるし、
私は辞めてよかった社員だったのだろう。これが男であったらきっと違ったのかも知れない。
念の為書いておくが、これは職業による男女差別ではない。あくまで、私が所属していた「この会社」の中で、「私」という人間が、そして女性社員が、不必要となっただけのことであって、全てのバーテンダーに通じる話ではない。
そうして、適切な距離だったり、正常な思考を取り入れてから改めてこの会社を振り返ると、「バー」とは到底言えないものだと思う。
無論、形式的に「バー」を名乗るのはいいと思うし、実際そうして成り立っている訳だ。
ただ、「普通の」「オーセンティックな」「味に定評のある」 「バー」である、とは絶対に言えない。
勿論、技術を持ったスタッフも居るのだが、全店舗共通するのは、ひたすらにスタッフとお客様という縦の関係の距離が近すぎるのもあるし、何なら横同士も何だかんだで近い。
特に常連集うカウンター席なんぞは、最早マイホームくらいの感覚で来ているお客が多い。特に、私が配属されていた店舗は。
アットホームが駄目だとは言わない。ただ、アットホームというより、ホームに近い。
仕事上、線引をした所で精神的繋がりも少なからず強くなる。
切り替わる前の私は、せめてお客としてはまた何度も遊びに行きたいし、折角出会えた常連様には会いたい、と思っていたけど、今はもう何も思わない。思えない。
たまに飲みに行っても、もう横に男性客が座りだしたら即座に帰ろうと思うくらいには、あの会社の特にあの店舗は近すぎて駄目だ。
嫌悪、ともまた違うのだけれど、恋人が居る以上、横で話すのは違うと思うようになった。
元々、虎さんの言うことは、「理論的には正しい」とはずっと思っていた。
けど、深層部まで理解ができていなかったから、中途半端な理解だったからこそ、自分の受け取れない部分に関しては納得がいかないと感情的になって噛み付いていたのかも知れない。
今となっては彼が「常識人」「正常な人間である」という意味でも、完璧に正しかったのだと理解ができるし、だからこそ今まで私が如何に「異常」だったのかを痛感した。
ごめんね。
私は馬鹿なんじゃない、「異常」だっただけだった。
ほんの少し前まで、それを「個性」であり「商売道具」には善いものだと信じて疑わなかった。
事実、うちの会社では個性が強いほうが人気は出るが、それは全てあの会社内だからこそ通じるようなものが多い。
どれだけ仕事ができる人でも、頭が良くても、お金があっても、一見満たされているように見える人でも、あの会社に、特にあの店舗と銀座の店舗に集まる人達は、皆寂しいのだろう。
そして、人恋しさと埋まらない何かを、あの酒場で数時間だけでも埋めようとしているのではないだろうか。
それはこんな風に文章で書くと高尚な孤独にも感じられるが、決してそうではなく、ただ日常の、生活の一部として。
酷く簡単な孤独であり、それはその人に根強く絡まりついているものであり、息抜きのようでありながら、うちの会社に、店に染められている。
それはスタッフもまた、然り。
結局は寂しがり屋の集団だ。特にこんな濃厚な接客を、そこまで高くもない給料で勤める人間なんて、何かしら寂しく思っていなければやろうとも思わない。
ただただストイックにバーテンダーをやりたいのであれば、もっとオーセンティックなバーに行けばいいし、お金が欲しいならキャバクラやホストでもやればいい。
特に男性は、「モテたい」という動機で始めるのかも知れないが、数年もあの会社に居れば何かしらに染まっていく。
抜け出した私が、離れてようやく理解した、傍目からの見方だ。
だからこそ、仮に戻ったとしても、もう以前の接客はできない。
どうやってもできないし、飲食業に戻りたいとも思わない。
今は、例え女性だけの職場であろうとも、やっていけると思う。
ただ単純に、仕事をすればいいのだから
人の深層部を覗くあの瞬間というのは、非常に愉しく私の特技でもあるが、もうそれを仕事にするつもりもない。恐らく、私の覗き当てるあの力は、誰よりもずば抜けて高いと自負できる。
それは、例え彼がどれほど頭がよくても、経験を積んでいても、私には及ばないと言える唯一の特技だ。
これは恐らく生まれ持った能力なので、磨くにはただただ生きることでしかない。
それでも、もうその力を使うことはほとんど無いに等しい。
諸々を振り返ってみると、心底彼は頭がいいのだなと思った、し、芯から正しかったのだなと。
私が見えていなかった部分は相当にあって、きっと取締役は彼の奥の一本まで見抜けていると思う。
だからこそ、見抜いて適正な評価をした上で、もっと経験を積ませたいのだろう。
恐らく、これから経験さえ積んでしまえば会社はもう彼を手放すことはしないだろう。
冷静に、贔屓目に見るのではなく、単純に能力があり、これからあの会社を動かせる人間は、取締役を除いて三人だけだと思っている。
マネージャー、私の所属していた店舗の店長、虎さんだ。
ただ、マネージャーと店長の軸は擦り合わせてはいても一致はしていないし、バランサーが虎さんになると思う。
それ以外の店長陣や副店長あたりは、まだ動かせるほどの能力は持ち合わせていない。
能力と言うよりは、先を見る目が養われていない。
考え方、嗅覚、感じ方、ものの見方がまだ、三人には及ばない。
いい会社だと思う。仕事を楽しく演る分には。
私はもう、帰りたいとは思わないけど。
これからは、素直に謙虚に、彼の正しさに直向きに付いて行こうと思ったのでした。
今までごめんね、これからも宜しくね。
思考が変わったことにより、婚期早めてくれないかしら。
不安はまだ、拭い去れず
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