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夕暮れ*Kaleidoscope
▼2022/10/01/02:09



「本日はあと2時間ほどで愛する兄上の元に 
 帰ります♡」

 

 電話越しにも

 そうとう
 浮かれている様子がわかる

 ラヴコール



 「ああ、分かった…」



 嬉しい気持ちを隠し

 努めて冷静かつ関心無き声で
 返事をする自分

 まこと…
 素直ではないな(くすッ)



 日暮れの早くなった
 今日この頃

 ひとりの黄昏時は
 寂寥感を一層かき立てる


 ふるふると頭を振り
 沈む気持ちを切り替える

 さて
 今夜の献立は何に致そう?

 縁壱の好きな食材を
 思いうかべる
 
 
「好きだけでなく、しっかりと栄養も整うた
 食事にせねば…。ん、悩むな…」


 同時に

 帰宅した縁壱と過ごす
 あまい甘い時間を想像して

 独り愉しむ


「最近あっさりした料理が続いたゆえ今夜は
 こってりした洋食にするか…」


 くるりくるり

 思考は
 万華鏡のように

 現れては消え
 現れては消える

 
 そして、いつしか
 優しい眠りに私を誘い

 終わらぬ
 幸せな夢を見せ続ける…









「兄上、起きて下さいませ?」
「……ん」


 人工灯あかりの眩しさに
 少しずつ瞼を開ければ

 すぐ目の前にある
 最愛の…



「…より、いち…」
「ただいま戻りました兄上」
「ん…、おかえり…」
「夕食の支度が整いましたので、一緒に頂き
 ましょう?」
「え…、ぁ…」
「本日は欧風咖喱に致しました。御館様から
 頂戴したカツレツも御座いますよ」
「すまぬ縁壱…。仕事の後で疲れておったで
 あろうに…」
「愛する兄上のためならば縁壱に出来ぬこと
 など御座いませぬ」
「ん…ありがとう」



 どうやら

 あのまま
 寝オチたらしい…



「いい夢、で御座いましたか?」
「え?」
「大層、うれしそうに微笑んでおられました
 ゆえ…」
「わたしが…、笑って…?」
「はい」
「そうか…」





 いい夢など
 
 お前の…
 縁壱の夢に決まっておろう?



「ふっ…。くすくす」
「あにうえ?」
「ん…なんでも、ない…」
「???」
「いい香りだ…早く頂こう」
「はい、兄上」





 思い出した
 幸せな夢の内容は

 縁壱に伝えたら
 消えてしまいそうだから
 
 私だけの秘密だ


 目の前に
 本物の縁壱を見つつ


 もう少しだけ…


 先刻の幸せな夢の続きを
 見させておくれ?






 
**************
 よりちの夢を見て
 御機嫌な兄上と

 美味しそうな兄上の寝顔に
 理性と戦いながら

 夕飯を作るよりち

 とにかくおふたりの
 幸せなおはなしが

 書きたかったんだ…(・∀・;)












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