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恋心落下
▼2022/09/27/03:45



(…ッと)


 私を確かと抱きしめている
 逞しき腕から

 縁壱を起こさぬよう
 苦労して脱出し

 あどけなき表情で寝ている
 頬に口づけをひとつ


「あに…う…ぇ…、す…き…です」
「ばぁか、寝ぼけ壱…」


 もう一つ鼻先に口づけ

 寝台ベッドからするりと
 抜け出す



 ホントは

 寝言でも
 我が名を呼んでくれるのは

 とても嬉しい(私も大好きだ、縁壱…)


 自然に頬が緩むのを
 きりりと引き締めながら

 床に散乱した二人の夜着を
 素早くまとめ

 そっと寝室を出ると
 台所に向かう



 なぁ、縁壱…

 こんな風に
 毎日一緒に優しい朝を迎えられる
 
 …なんて

 正直
 まだ信じられぬのだ


 永遠の幸せ、など
 存在せぬと思っていたゆえ…



 互いに魅かれる心も      
 大事に想う気持ちも
 寸時も離れがたき感情も


 日毎に増して


 別々の空間で過ごしていた       
 前世あのころには… 

 もう
 決して戻りたくはないし
 
 戻ることなど
 不可能であろう



 朝食と弁当の準備をしながら
 そんなことを考える



 然れど大丈夫

 縁壱は、確かとワタシに
 約束してくれた



「兄上、これからはずっと一緒ですよ」


 と



 其の時の

 嬉しそうな縁壱の顔と 
 優しき声を思い出したら


 また…
 自然に笑みがこぼれた



 ゆえに突然


「兄上、おはよう御座います。今日も全力で
 愛させてくださいませ」
「ひっ…!!!」



 背後から
 おもいきり抱きしめられ

 心の臓が
 止まるかと思うた…



「よ…よりいちッ!!」
「驚かせて申し訳御座いません兄上。貴方が
 御目覚めであられるのに縁壱のみ寝ている
 のは寂しゅうございますゆえ…」
「…んっ」


 言の葉に重なる
 優しい口吸いキス

 ほんにもう…


 これから離れて過ごす時間が
 大層つらく

 お前と片時も離れ難いゆえ…


 先に起き

 少しでも縁壱おまえの居らぬ寂しき時間に
 慣れようしたのに…


「兄上、愛しております」
「より……ち…っ」


 次第に深くなる口吸いキス
 縁壱が私の中に再び満ちてくる




 嗚呼、恋心落下



 ワタシの中にある

 縁壱おまえの全てを欲する感情に
 屈服せぬよう


 これ以上

 あまくて優しき時間を
 与えないでおくれ…







********************
 爽やかな
 朝のひとときのお話

 お互いがお互いを好きすぎて

 悶えててくれてたら いと嬉し
 (⁎˃ᴗ˂⁎)♡⤴︎⤴︎
 







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