青い髪にアロハシャツという目立つ出で立ちの男を探せばその人はすぐに見つかった。随分と現代社会に溶け込んだなぁと思う。サーヴァントの中で一番溶け込んでいるのではないだろうか。
「ランサー、ここにいたんですね。バイトはお休みですか?」
「ん?お、呉羽じゃねーか。バイトは休みだぜ!」
「そうなんですね。……ところで、釣れてます?」
暇なときはナンパか釣りをしているランサーだが幸運Eのせいかいつもどちらも成功しているところを見たことがない。今日の成果は、とバケツを見れば魚一匹入ってなかった。やっぱりか……。
「今日はな、まだ釣れてねーんだわ。」
「まだ、って……今日ここに何時間いるつもりなんですか?」
「あー?……夕飯前までだな。」
「あと何時間あると思ってるんですか!?」
時間を確認すればまだ昼前。この人、いくら魔力供給で動いてるからって……。大きなため息を吐いて隣に座りランサーの釣り竿をひったくる。
「いきなり何するんだよ!?」
「私が釣ります!!その方が早く終わる気がします!!」
何を隠そう私の幸運はすこぶる高い。なぜか知らないが幸運だけはいい。金ぴか王も、なんかよくわからないけど褒めてくれた。アイツの言う事を信じるつもりは毛頭もないがな!しかし、今はあの金ぴか王はよくわからないけどとっても可愛いショタになっていた。礼儀正しいあの可愛らしい少年があの慢心王であるとは思えない。可愛い。あの子がいう事は信じれる。すごい。我ながら依怙贔屓だと思う。可愛いは正義って言いますものね!
「あ、」
「ほら来たぞー!巻け巻け!」
「釣り方なんか知りませんよ!一本釣りみたいにポーン!じゃダメなんですか!?」
「おま、ここでそんなことしたら食えなくなるだろ!?」
「しりませんよ!そんなこと!」
ギャーギャーと騒ぎながらなんとか一匹目を釣る。それをランサーに外してもらい二匹目の餌をつけてもらう。……釣りって大変……。
「今度一緒にやるまでに全部覚えて来いよ?」
「は、」
「今度やるときは釣り竿二本持ってきてやっからよ。な?」
「……終わったら、どこか連れてってくれます?」
「おう、いいぜ!好きなところ連れてってやるよ。」
「……わかりました。約束ですよ?」
「なんならゲッシュしてやろうか?」
「いりませんよ。こんなことに使おうとするなんて馬鹿じゃないの?」
「酷ぇな!呉羽が本当かどうか聞いたから言ってやったのに。」
すみませんねえ、とわざとらしく謝罪すると乱暴に頭をなでられた。撫でるの好きですね、あなた。
「ほら、二匹目も頼んだぜ?」
「はいはい。お任せあれ〜。」
2017/02/04 23:25(執筆)
2017/02/05 20:11(加筆修正)