「というのが、私たちの出会いですね。いえ、ギルが言うには、これが初対面ではないというのですが私は残念ながら覚えてないのですよねぇ……。」
「ま、待ってください!余りの軽さに流されそうになっていますが待ってください!」
「お、思ってた以上にヘビーな話だった……!」
「だから、聞くんですか?って言ったじゃないですか。」
「いや、それは常套句かな、なんて……。」
「軽率に聞いてしまいすみませんでした……。叙事詩にもそこまでは書かれていなかったので、その、」
「なぜ二人が落ち込んでいるのですか?もう終わったことです。気にしてはいけません。」
「いえ!ハレクさんはもっと気にするべきです!なぜあのように仲良くできるのですか!?」
「感情が豊かになりましたね、マシュ。」
「そう、でしょうか?――ハッ!いえ、流されませんよ。話は終わってません!」
「あの頃は若かった。それだけですよ。それに、時が解決してくれることもあるんです。」
「……あれ?でも第二再臨の時は羽ついてたような?」
「ええ、片翼だけ残っていますね。左腰のところです。」
「今の話で全部取られなかったの?」
「そこは私も不思議なんですよね。なぜか、急に興が醒めたといってやめちゃったんですよ。まあ、その後私は我慢の限界と貧血で気絶。起きたら見知らぬ部屋の中、でしたけど。」
「うーん、それまたヘビーな話の予感……。その片翼は結局とられちゃうんだよね?
「まあ、それについても色々ありますけれど、残された片翼は私自身が王に捧げたので、結局私の羽はなくなりました。それに伴い、神性もなくなりましたけど。まあ、そこらへんも今回は割愛という事で。この話はおしまいです。ご清聴ありがとうございました。この話をしたこと、王様には内緒ですからね。」
「わかりました。秘密にします。」
「また聞かせてね。」
「……そうですね、気が向いたらお話しましょうか。」