なぜ彼女なのかを問われても、私はその答えを持っていなかった。ただ悲しみに溺れる彼女に息をして欲しかった。漠然と、しかし、絶対的な意志を持ってしまった。彼女を幸せに導かなければ、と。私はその気持ちを形容できる言葉をあいにく持ち合わせていなかった。だからソレを恋と呼ぶことにした。



「タンポポ。」

「はい、なんでしょうか。イノリさん。」

「いつだかキミは私の味方だと言っていたね。」

「はい。私はいつでも貴女の味方でありたいと思っていますよ？」

「……それで、タンポポは辛くないの？」

辛い、ってなんだろう。イノリさんが言いたいことが分からず私は首をかしげた。味方であり続けることのどこが辛いのだろうか。

「イノリさんは、私が味方であることが辛いんですか？……迷惑、ですか？」

「……ううん、とても心強いよ。でも、私を擁護するだけで、それが君の意思じゃないなら、私の味方をする必要はないと思っただけなんだ。」

「いつだって私は私の意見を優先して生きてますよ？」

「そう。……変な事を聞いたね。ごめん。」

「いいえ、それで貴女が安心できるのであればいつでもどこでも聞いてください！」

眉を下げ申し訳なさそうに微笑むイノリさんに笑い返す。
貴女が不安だと私も不安なのです。
貴女が楽しそうだと私も楽しいのです。
貴女が幸せだと私も幸せなのです。
だから笑ってほしいのです。

ねえ、イノリさん
私は貴女の助けになれてるのかな。