第3Q
前回のあらすじ。
天川冬玖がカントクに殺意(のような闘志)を披露→入部許可を貰った。
そしてカントクのトンデモ発言に部員がなんかパニック。
粗(過ぎる)筋終わり。
*****
誠凛高校の体育館ではバスケ部が練習に励んでいる。
新入部員の数は初期より大分減って、15人から6人に。当然の如く禁止となった屋上宣言の代わりに行われた、部活動時間の声出しで絞られたのだ。余談だが、火神の屋上宣言と冬玖の放送宣言の翌朝、校庭には「日本一にします。」という宣言が書かれていた。しかし匿名だった為誰が書いたかわからず、謎のミステリーサークルとして誠凛高校七不思議の仲間入りをしたらしい(因みに火神とカントクは訳知り顔、冬玖はとある生徒が「しまった…」と呟いているのを発見した。『お前かよ』)。
まだ肌寒い季節に汗を流している中、バスケ部の主将である日向はカントクが見当たらない事に気付く。
「おい、カントクどした?練習試合申し込みに行くとか言ってたけど」
「さっき戻ったスよ。なんかスキップしてたし、オッケーだったみたいスね」
後輩のこの言葉に日向はギョッとした。
───
スキップして?
「オイ、全員覚悟しとけ。アイツがスキップしてるって事は……」
次の試合相手、相当ヤベーぞ。
マジですか。
***
時は少し遡り、部室。授業を終え部活に出るべく着替えをしていた彼らは、ふとベンチに置いてあった雑誌に気付いた。
「この号、黒子が帝光いた頃のじゃん?」
雑誌…月刊バスケットボールマガジンを開くと、そこには「キセキの世代」が一人一人特集を組まれていた。10年に一人の天才が5人同時にいた世代の情報は、バスケ雑誌にとって恐らく良いネタになるのだろう。しかしページを捲っていた日向は眉根を寄せる。
「黒子は…記事ねーな」
「6人目なのに…取材来なかったの?」
「キセキの世代」が活躍していた時…しかも同い年でレギュラーとして試合に出ていた黒子。幻とはいえ出場していた事に変わりはないのだから、取材が来てもおかしくはない。それなのに記事がないとはどういう事だ。そんな疑問を周りは黒子に投げかける。
その様子を端から見ていた冬玖だったが、彼はなんとなく想像がついていた。大方、来たんだろうが……
「来たけど忘れられました」
『(……だな)』
「(切ねーーー!!)」
あんまりな出来事に周りは目頭を抑えた。予想通りだった冬玖も微妙な顔をする(が、あまり表情は変わらない)。同情の視線を浴びる黒子はあまり気にしていないようで、着替えながら「それに、」と話を続ける。
「ボクなんかと5人は全然違います。あの5人は本物の天才ですから」
***
カントクが帰って来た後、ミニゲーム式の練習が行われた。
黒子からのパスを受け取った火神は相手のマークを振り切るが相手も負けじとくらいつく。しかし彼はそれすらも抜いた。その動きに誰しもが目を見張る。
『何だあのターンムーブ……』
「はやっ……!!」
フルスピードからの切り返し。そのキレが同じ人間とは思えないと周りは言う。もしかしたら「キセキの世代」にも勝っているのではないか?
一応「平均以上」を自負する冬玖も先程のドライブには驚いた。フルスピードを保ったまま素早くターンして相手を躱し、振り切ってダンクシュート。自分にも練習を積めば出来ない事はないだろうが、果たしてあのキレを出せるまでにどれくらいの時間がかかるか……だがその前に。
『(火神が「キセキの世代」を上回ってるかはまた別だな)』
彼らとて人間。日々の積み重ねがなければ成長などしない。バスケの強豪校に進学したのならそれなりに練習はしているはず。だから現段階で火神が彼らを上回っていると判断するのは時期尚早と言えるだろう。
一方、黒子は冬玖とは反対の事を考えていた。体験入部の日、「キセキの世代」に興味を持った火神と行った1対1。そこで見た彼の実力はかなりのものだったが、かつてのチームメイトと試合すれば瞬殺されるレベル。
天賦の才能を持つ火神。
潜在能力だけならわからない、が。
今の完成度では彼らの足元にも及ばない。
「とは言ったけど……」
『……黒子』
思考の波に流されていると、肩に手が置かれ名前を呼ばれる。ハッとして振り向くと冬玖が無表情に此方を見下ろしていた。
『集合だとよ』
「えっ」
「あれ?黒子どこだ?」
「あーもー、偶にすげー困るよ」
「黒子ー!!出てこーい!!」
『犬みたいに呼ばれてるな』
「……………」
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