第3Q
「海常高校と練習試合!?」
集合をかけられカントクの元に集まると、近いうちに行う練習試合についての連絡だった。入部して間もないが、早々に試合を経験する事に損はない。寧ろ試合に慣れていなければ公式戦で力が発揮出来ない、なんて事にもなる。だから練習試合をするのは大いに賛成だ。だが問題はカントクが相手として申し込みに行った高校。驚愕の声をあげる部員にガッツポーズしながらカントクは言う。
「相手にとって不足なし!一年生もガンガン使ってくよ!」
「不足どころかすげえ格上じゃねーか……」
……そう、カントクが練習試合を申し込んだ海常高校は毎年IHに出ている全国クラスの強豪校。先輩方も一年のみで決勝リーグに行った強者達だが海常はそんな彼らの更に上を行く(『人はこれを無謀と言う』)。
それに加えもう一つ。日向が顔を引きつらせながらカントクに訊ねる。
「帰って来た時言ってたアレ、マジ?」
「もちろん!」
「
アレ?」
「ん?火神聞いてなかった?」
「海常は今年『キセキの世代』の一人、黄瀬涼太を獲得したトコよ」
『(げ……)』
その名前を聞いた途端、冬玖は嫌な顔をした(が、あまり表情にはry)。彼は元より「キセキの世代」に良い印象を持っていなかったので、顔を負の感情で染める事は何ら不思議ではない……が、黄瀬涼太にはちょっとした…まあ私怨のようなものがあった。周りがモデルをやっている黄瀬に対して僻み妬みをぶつけている間、冬玖は心中で彼に恨み辛みをぶつける。黄瀬、哀れなり。
そんな部員を呆れた表情で見ていたカントクは、ふと体育館が部員以外の声で騒がしい事に気付く。慌てて体育館内を見回せば、いつの間にかギャラリーができていた。目を凝らせば外にも人──というか全員女子だ──が群がっている。カントク達がどういう事だと困惑する中、冬玖は一点を見つめ呟いた。
『……舞台に他校生が』
「!」
急いでそちらを見れば、確かに誠凛とは違う制服を来た生徒がいた。更に女子達はその人物から長蛇の列を作っている。色紙を持っている辺り、サインをせがんでいるのだろう。注目の的となっている生徒もこの状況は不本意なようで、困り果てた声を出す。
「あーもー…こんなつもりじゃなかったんだけど……」
「アイツは……」
生徒を見たカントク達。その顔は先程話題にあがった人物で。ぽつりと黒子は言った。
「……お久し振りです」
「黄瀬涼太!!」
ペンを片手に苦笑いで「久し振り」と言う黄瀬を見た火神は、自分の闘志がザワリと燃え上がるのを感じた。
「……!!(こいつが…!!)」
それに対して冬玖は、
『(こんなエンカウントいらなかった)』
「スイマセン、マジであの…え〜と…てゆーか5分待ってもらっていいスか?」
『寧ろ5分で帰れ』
「えっ!?」
『チャラいんだよ髪毟るぞ』
「ちょっとォ!!?」
「落ち着け天川!!」
不機嫌丸出しだった。
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