08

前回のあらすじ。
思わぬ形で綱吉と再会を果たした。

手を掴まれたままバタバタと走り、パーティー会場から離れた部屋に連れられるままに駆け込んだ。
コルセットで身体を締められてるのもあって、めちゃくちゃに息の上がっている私を、少しだけ息の上がった綱吉がふわりと抱きしめた。

「つ、綱吉」
「郁、だ」
「う、うん」
「本物だ」
「本物だよ」

私の肩に顔をうずめる綱吉に、ここを離れる前にもこんなことあったなと思わず顔が綻んだ。
顔見せて、と綱吉の背中を叩くとゆるゆると顔を上げる。前髪が少し、襟足は前よりも伸びていて、久々に見た彼は更に大人びているけれど、その声も表情も変わらずにほっとした。

「髪、伸びたね」
「郁も」
「綱吉」
「ん?」
「会いたかった」

ふにゃりと顔が緩みながらそう言うと、綱吉が一瞬顔をくしゃくしゃにして、さっきより力を入れて抱き込まれた。ぎゅうぎゅうと抱き締めながら、まるで擦り寄ってくるような綱吉の背中を優しく撫でた。

「俺の方が、100倍会いたかったよ」
「ふふ」

暫くそのままで、少し時間が経ってから綱吉がゆっくり顔を上げる。

「やばい、パーティーめちゃくちゃ放ってた」
「放ってるね」
「獄寺くんたちがどうにかしてくれてるだろうけど……」

と、そこまで言った綱吉が止まって、私と視線がかち合う。首を傾げると、「そういえば何で郁はザンザスといたの?」と言った。

「ていうか何で帰ること教えてくれてないの!?」
「あ、それはびっくりさせようと思ったからで、」

そこから始まり、これまでの経緯いきさつのかくかくしかじかを話す。途中までハラハラしながら聞いていた綱吉が、ザンザスさんのところまできてじとっとした顔になった。

「それで気に入られたのか……」
「え、別に気に入ってはないと思うよ」
「あるの」

俺のなのに。そういいながら、綱吉が私の伸びた赤い髪をひとすくいして、その毛先に口付ける。
それを見て、思わずぼぼぼっと顔に熱を灯す私を、優しい目で見る綱吉。

「もう、離さなくていいんだよね」

髪を持っていたはずの手が、私の手に伸びていて、ぎゅっと握った。
噛み締めるように言った綱吉が、くしゃっと笑う。

「おかえり、郁」

優しい瞳。ハニーブラウンの跳ねた髪の毛。私より大きくて男の人にしては少し小柄な肩。私の手を握る暖かい手。
そのどれもが恋焦がれてやまなかったもので、私も噛み締めるように「ただいま」を口にした。