20

嬉しさと恥ずかしさで顔が熱いままに、京子ちゃん達のクラスへと向かう。浮かれていた私は自分で作った、廊下までしか行かないというルールを破って、クラスのドアをガラリと開けてしまった。開けて、ハッと我に返る。開けた手前閉められず、でも注がれる注目の視線に冷や汗が背中を伝う。

「あれ、嫩ちゃん?」

救いの一声。

「京子ちゃん、あの、ちょっといいかな?花ちゃんも!」
「うん、どうしたの?」

不思議そうに廊下に出てきてくれた2人に、わたわたとしながら昨日のお礼を言って包を渡す。少し話したそうにしていた2人だったけれど、ごめんこの後先生に呼ばれてて!と謝ってその場を後にした。
一瞬、扉を開けたその一瞬。
彼がいたのが目に入ってしまった。それだけで私の顔は更に赤くなる。熱くなる。目の前にすると、もうだめだ。今まで抱えていた彼を好きでいるという絶望なんて、あっという間に吹き飛んで、ただただ熱だけが残る。
君のその目に、私が写ってしまった。それだけで、身体が火照る。
我ながらその重症加減に、ほとほと困ってしまった。








「嫩ちゃん、なんかすごく慌ててたね」
「顔赤かったしね」
「今のって、蕪木さん?」
「うん!お菓子もらったの!ツナくん、嫩ちゃんのこと知ってるの?」
「いやっ、知ってるっていうか、うーん、雲雀さんに呼び出されてるところを見掛けたことがある程度なんだけど……」
「そうなんだ!すっごく素敵な子なんだよ。ね、花!」
「素敵というか、不器用よね。純粋すぎて。いい子には違いないけど」
「2人ともいつの間に仲良くなったの?」
「私が声掛けたの。ツナくんも今度お話してみようよ、紹介するから!」
「う、うん」
「(沢田って京子が好きじゃなかったっけ……残酷……)」