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「なに、あれ」

変わらぬ朝。登校すると校門前で緑谷くんが謎の団体に捕まっているのが見えた。困ったようにひきつり笑いを浮かべる彼の様子を見るに、どうにもあまり願った状況ではないらしい。始業まで時間はあるけれどあのまま捕まりっぱなしも可哀想なので助け舟を出すべく近付いてみると、団体はマイクやカメラを持ち寄っていて、どうやらマスコミ諸君らしい。

「緑谷くん」
「ハイッ、え、あ、来栖さん……」
「何か困ってる?どうしたの?」
「あ、えっと、オールマイトの授業の様子とかを知りたいらしくて、生徒にインタビューして回ってるんだって……」
「ああ、なるほど」

頷いて、ぐるりと一瞥し、マスコミの方々ににこりと笑いかけると、一斉に皆がごくりと唾を飲み込んだのが見えた。

「オールマイトについて知りたいの?」

軽く首を傾げながらそう報道陣に話しかけると、こくこくと首を振る。ふーん、と言いながら緑谷くんの手をこっそり掴み、彼がそれに気付いてすぐ顔を真っ赤に爆発させるのと同時に、

「オールマイトはね、可愛いわよ」

それだけ言って、緑谷くんの手を掴んだまま走り出した。

「いやっ……来栖さん、走るの……早すぎ……ッ」
「ええ?」

下駄箱でゼェゼェと肩で息をする緑谷くん。勢いで引っ張ってその場を離れてしまえば、追ってこようとした報道陣に雄英バリアーがしっかりと作動しその行く手を遮ってくれた。
ただその走り出しが早かったらしく、朝一番だというのに緑谷くんの顔は既に疲れている。うーん。

「今度からお姫様抱っこで移動するわね」
「走り込みします!!」




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