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『涼ちゃんだいすき!』

実家の近所に住んでいた3歳年下の男の子。
本当に家が近くて、親同士も歳が近くて仲が良くて、気がつけば一緒に遊んでた、所謂幼馴染み。
それはそれはもう目がくりくりして可愛くて、子供ながらにすごく可愛がっていた。
ただ私が先に中学生になり、時間が合わなくなり、私が高校生になるとすれ違って彼が中学生になる。3歳差というのはそういうものだ。
別に私はだからといって素っ気なくしたり、疎遠になる気もなかったんだけれど、向こうは違ったらしい。彼が中学生になってからは特に、どことなく冷たかったり避けられたりして正直すごく悲しかったのを覚えてる。
でも冷静になれば、思春期なんだからと理解は出来たし、女の子が彼の家に入っていくのを見たりもしていたし、ああ、そういう年頃だもんな、と納得もした。
私だって彼氏いたこと普通にあるし。どんなに小さい頃仲のいい幼馴染みであったとしても、疎遠になることもある。それが歳をとるということ。
地元の高校を出た私は、県外の短大に進むことになり同時に家を出た。親同士で話はしたようだけれど、私は幼馴染みに挨拶なんてしなかった。わざわざ言うことではないと思っていたし、疎遠になった歳上女に「県外にいくね」なんて言われたところで困ると思っていたし。
2年の短大、一人暮らし。勉強しつつ、資格をとりつつ、遊びつつ、バイトもしつつ。エンジョイしてた。
無事卒業し、就活もきちんとそこそこ頑張って就職。就職先もそのまま県外にして、一人暮らし継続。
苦労しながらも新卒1年目を終えて、もうすぐで2年目に入るぞという3月末。
彼はいきなりやってきた。

「涼ちゃん、久しぶり!いきなりで本当に悪いんだけど、ちょっと泊めてくれないかな?」