その日、本来であれば、人命救助の演習場『ウソの災害や事故ルーム』通称USJでスペースヒーロー13号、イレイザーヘッドの2人体制で人命救助訓練の授業の予定であった。13号の個性に対する高説があり、さて授業に取り掛かろうと言うその時、演習場の隅に、どこからともなく黒いモヤが現れた。そして、それが不気味な雰囲気を纏い良くないものを連れて来ていると瞬間的に気付いたのは、イレイザーヘッドとユズリだった。
「ひとかたまりになって動くな!」
「え?」
「あれは──敵だ!!」
ズズズ、と音を立てながらモヤの中から多数の敵が現れ、その筆頭にいる顔に《手》を付けた男が殺気を飛ばす。大体の生徒にとっては、初めて襲う、ビリビリと皮膚を走るような、震えて縮まりたくなるような感覚。ユズリの目の端には、緑谷を始めとする面々が青ざめた顔をしているのが映り、僅かに敵に移した眼光を鋭くした。
敵達の襲撃は、オールマイトの殺害を目的とするものらしいが、この場には幸か不幸かその彼はいない。
先日、雄英のセキュリティが突破されたと知らせる警報は、誤報ではなく敵が授業につく教師を知るという下準備段階のものだったらしい。
瞬時にそこまでの計画性があること、その思惑の深さを読んだイレイザーヘッドが戦闘態勢に入る。ユズリも共に闘おうと踏み出したところで、
「蘇芳、動くなよ」
と釘が刺され、不満げにユズリは頬を膨らました。