酒は飲んでも呑まれるな
「普段からお酒を飲む人のほうが酔うお酒?」
サンジとウソップが食べ物の買い出しの最中面白い物を見つけたというのがこれらしい。
「おう!つい買っちまった」
ウソップが楽しそうに笑っている。
「ウチにはアホみたいに酒飲むやつが居るからな、今日はこいつをたらふく飲ませてやるぜ」
サンジはなんだか悪い顔で笑っていた。
*
ミヤビなら普段飲まないからあんまり酔わないし、何よりゾロにお酒をあげても不自然じゃないから、とゾロとの晩酌を誘うよう命じられてしまった。
「ゾロ、一緒に飲も?」
「あァ」
昼間の怪しいお酒を注いで2人で小さく乾盃をした。
飲みやすい。甘いしそんなにお酒の感じがない。
「お前いつからこんなに強ェの飲むようになったんだ?」
「え?」
ゾロが眉間にシワを寄せてる。
(あのお酒…本当だったんだ!)
周りで見てるみんなもビックリしてソワソワし始めた。
ゾロはブツブツ言いながらもジョッキを空にしていた。でも珍しく顔が赤くなっている。
「ゾロ?顔赤いよ?」
「んなこと…ねェ…」
いやむちゃくちゃな。
目も虚ろになってる。
「ミヤビ…」
「うん?お水?」
「違う…こっち来い…」
とんとん、とゾロが示すのはゾロの隣り。
「はい、来たよ」
「ん、いい子だ」
がしがし雑に頭を撫でられる。
普段はありえないゾロの奇行に驚いてるのもつかの間、今度は肩を抱かれた。
「ゾロ!?もう酔い過ぎ…」
「ミヤビは困った顔も可愛いな」
へら、と笑われて顔がすごく熱い。
普段のゾロを見てたらこの様子で落ちない人なんてきっといない。
「おいおいマリモ野郎!!いい加減ミヤビちゃんから離れろ!」
サンジが目を釣り上げているけどゾロは何も気にせず私の首元に頭をぐりぐりしてる。
なんか、
(可愛い、かも…)
「ミヤビいい匂いするな…」
耳元で囁くように言われてカッと体が熱くなる。
「な、なな何言って…」
「おれと良い事しねェか?」
みんなには聞こえてないみたいだけどめちゃくちゃ凄いこと言われてるよね、今。
「えっ…?」
「こういうこととか」
ちゅぅ、と可愛らしい音と共にゾロに口付けられていた。
あらっなんていうナミとロビンの声と驚いて言葉を失うメンズに船は沈黙に包まれた。
「あの、ゾロっ…い、今…」
「なんだ?もっと激しいのが良いのか?」
「ちがっ…んむぅ」
ぬるりとゾロの舌が遠慮なく入ってくる。
舌も息も熱くてちょっと変な気分になっちゃいそう…。
ぷは、と唇を話すとゾロが悪い笑顔で笑っていた。
「ミヤビ借りるぜ」
「えっちょっ」
がし、とゾロに担がれ、サンジの声やらウソップの声やらが飛び交う甲板を(強制的に)後にしたのだった。
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