立ち位置がまず不思議
「気に入った。おれの船に乗れ」
「えー、そんな誘い方やだ」
「チッ…」
…キャプテンにああ言えるの、すごいな。
ミヤビとローのやり取りをペンギンは思い出していた。
1番最初ではない。ある島で運悪く海軍に囲まれた瞬間が最初だった(しかも1番最初はおれに手を貸せだのアンタが私に貸しなさいよだのだった気がする)。
初対面だったはずの我らがハートの海賊団のキャプテン、トラファルガー・ローとミズミズの実の能力者リンドウミヤビは圧倒的なコンビネーションで海軍を退けたのだ。
そして冒頭の会話に至る。
ミヤビは正義を背負っているわけでも賊でもない。いわば旅人のようなものだった。
師匠と出会ってその師匠にビブルカードを作らせ、いつでも会えるようにしたいが為に旅に出たという。師匠なのに作らせるとは一体どう言った関係なのだろう。
「…今おれとあっさり共闘したがお前も賞金首になる確率が高い。乗っていた方が一人旅よりは安全だと思うが」
「んー、確かにね。それに、私の師匠も海賊なんだよね」
「…誰なんだ、その師匠とやらは」
「黙秘します」
「…。ペンギン、コイツのツナギ用意してやれ」
「アイアイ!キャプテン」
「ちょっと、まだ仲間になるって言ってない!」
「あれだけのコンビ技見せつけられちゃなー。息ピッタリだったぜ?おれはペンギンだ、よろしくな」
「…よろしくです、ペンギンさん」
ちょっと拗ねたように口を尖らせているミヤビ。闘ってる時の表情は真剣そのもので美人寄りだったがこうして話してると可愛い寄りの表情だ。シャチ辺りが騒ぐだろう。
「おれにも敬語使え」
おれとミヤビの会話が聞こえたのかキャプテンは割増で機嫌が悪くなった。
「やなこった」
んー、やはり大物の予感。
そもそも会ってすぐ、しかも女を乗せることが珍しい。キャプテンの決定だから逆らいはしないし、なんというか、面白くなりそうだ。
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