新入り
「キャプテン、ペンギン、おかえり〜って…あれ?どちらさん?」
出迎えたシャチが首を傾げる。シャチの声に釣られた船員がわらわらと集まってくる。
「新入りかー?」
呑気なベポの声が聞こえた。
「そうだ。海軍と戦り合ったから恐らく目をつけられるだろうと思って拾った」
「ちょっと!偉そう過ぎない?」
むす、とふくれっ面のミヤビ。
「この船の船長はおれだ。船に来る選択を最終的にしたのはお前だろう」
「…師匠みたい」
ぼそ、と言い放った言葉。その言葉が何やら船長の癇に障ったらしい。
「いい加減にしろ。さっき海軍にやったようにバラバラにされたくなきゃな」
キャプテンが言うな否や、ばしゃっとキャプテンが水浸しになった。
「いい加減にするのはそっちでしょ。初対面の癖に偉そうにし過ぎ」
彼女一ミヤビの能力、ミズミズの実は言葉通り水を操ることができる。自然系にあたるらしいが、少し変わっている。
「こンの…」
ピキピキと青筋を立てたキャプテン。オペオペの能力を発動させようとしたみたいだがそりゃ無理な話だ。
「く…力が抜ける…」
がくり、と膝をついてしまった。さすがに止めさせねェとな。
「ミヤビ。そこまでにしとけ」
「う、ペンギンさん…」
「ミヤビにはまだ分からないかもしれないがおれらは海賊だ。船長の指示は絶対だし逆らうことは基本的に許されない。どうしてもキャプテンの下に付けないならおれらと来ない方が良い。ミヤビが苦しいハズだ」
「でもペンギンさん、私まずこの人の名前すら知らない」
「「えっ…」」
どよどよざわめく船員たち。思い返してみると…
「確かに…」
「そうでしょ!?」
「トラファルガー・ローだ」
苦い顔したキャプテンが渋々名乗った。
「ん!よろしくキャプテン!」
今度は手を差し出す。ちっせェ手…でも強いんだよな、キャプテンに気に入られる位には。
「…なんだこの手は」
「握手!」
にっこにこと手を差し出してる。これをまた断ると面倒なことになる、とキャプテンも分かったのだろう。無言で握手を交わす。キャプテンの手との対比でより手が小さく見えた。
「キャプテンの手おっきぃね」
「…」
なんか妙な空気。
おれちょっとこういうの鋭いからな、シャチとかでも気付かないだろうけど。
今のできっとほんの少しだけどキャプテンのミヤビへの印象変わった気がする。
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