追われる女神
「はあっ……に、逃げな、きゃ……はあ、は………」
「……居たぞ!女神だ!!」
「捕まえろ!何としても女神を我らのものにするんだ!!」
助けて、助けて……!
私の……私の体に、汚らわしい手で触らないで!!
……私は、『倉院の里の女神』のままでいたい!
別の場所になんか、行きたくない!
欲にまみれて汚らわしい貴方たちの神になんか……なりたくない!
お願い……誰か、助けて……
……ああ、やっぱり。
人間なんて、欲深くて、くだらない生き物。
「あの人達だけ」は……特別だったのよ。
人間にもう、正義なんか残っちゃいないわ。
やっぱり私が愛して慈しむのは、綾里の人間だけ………
「桜花、桜花……貴女はどこへ行ってしまったの……?」
……その声は、供子?
「……貴女は一体、どこへ連れ去られてしまったの……?」
供子が、泣いている……
ああ…泣かないで……
桜花は供子に触れようと手を伸ばすが、その手は供子をすり抜けた。
供子は泣いたまま、桜花の隣を通り過ぎて行ってしまう。
供子を引き留めるため、桜花は声を振り絞って叫んだ。
「……待って!」
―――桜花は、その声で目が覚めた。