「·····お前は、オレの番ということを理解しているのか」
ムッとした不機嫌そうな顔で、ヒュースはそう言った。
それを見たチタニアは頬をぽっと染めて、慌ててこう返す。
「わ、分かっているとも!!急に何を言い出すんだキミは!?」
「いいや、お前は分かっていない。番であるオレ以外の男に安易に近づいて·····」
「そ·····それはボーダーで活動する以上、仕方ないだろう?」
「そういうことではない。お前が他の男と仲良くする姿を見ると、オレの心が酷く乱れる。この意味が分かるか?オレは今とても苛立っているぞ」
「うっ·····それは、すまないと思っているよ·····」
しゅんとして謝るチタニアを見て、ヒュースもそれ以上は何も言えなくなったようだ。
ヒュースは少しだけ眉を下げ、チタニアをぎゅっと抱きしめてこう言った。
「·····オレは、お前が大切な番だと思っている」
「ふふ·····ワタシもさ、ヒュース。」
その言葉を聞き、チタニアは嬉しそうに微笑んで、ヒュースの背中に腕を回した。
ヒュースが自分を愛してくれているからこその言葉だと分かったからだ。
·····チタニアにとって、彼はかけがえのない存在だから。
「キミは他の男に嫉妬したんだろ?·····心配しなくたって、キミ以外に愛している男なんているものか」
そのまますり、とヒュースの角を撫でる。
すると、ヒュースはとても幸せそうに目を細めた。
「ああ·····そうだな。お前には、オレだけだ」
「·····キミにも、ワタシだけだろう?」
「当然だ。お前以外は要らない」
「ふふ·····嬉しいことを言ってくれるね」
そのままちゅ、と軽く口付けを交わす二人。
しかしそこでハッとなり、慌てて周りを見渡して誰もいないことを確認した。
どうやら、今のやりとりを見られたり聞かれたりはしていないらしい。
二人はホッと胸を撫で下ろしたが、同時に恥ずかしさが込み上げてきた。
「あー·····もう、ダメだよこんなところで!玉狛の誰かに見られでもしたら大変じゃないか!」
「むぅ·····だが、オレはもっとしたい」
「こら、そんな顔をしても無駄だからな!!」
チタニアはぷんすこと怒ってみせるが、ヒュースはしゅんとするばかり。
まるで怒られた犬のようにしょんぼりと項垂れてしまった。
その姿を見たチタニアは、仕方ないなぁというように苦笑を浮かべるとヒュースに耳打ちした。
「·····恋人同士の睦み合いと言うものは、人に隠れてするものだよ」
「!!」
その言葉を聞いた瞬間、ヒュースの顔が(分かりづらいが)パァッと明るくなった。そしてチタニアの手を取ると、無邪気な子供のような笑顔を見せる。
それに絆されたような顔をして、チタニアは「やれやれ」と呟いた。
「まったく·····仕方ない子だね、キミは」
「·····チタニア」
「はいはい、キミの部屋に行こうか」
そう言って、今度は自分から唇を重ねるチタニア。
その後、ヒュースは再び幸せそうな顔になり、何度も何度も彼女にキスをした。
「も、もう!続きは部屋でって言っているだろう!」
「嫌なのか?」
「そっ、そういうわけじゃなくてだね!?こういうことは、せめてベッドの上で·····」
「なら問題無いな。行くぞ」
「あっ、ちょっと待ってくれ!!まだ心の準備が·····!!」
ヒュースはそのままチタニアを抱き上げて歩き出す。
チタニアは慌てながらも彼の首に手を回し、しっかりと抱きついた。
その様子はまさにバカップルそのもの。
しかしそれを咎める者は誰一人おらず、二人の世界に没頭していた。
そのまま2人はヒュースの部屋に消え、ドアが閉まったあとには静寂だけが残った。
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ヒュースに「番」呼びをさせたかった。
20220204
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