「·····ヒュース」
チタニアがヒュースの名を呼ぶ声は、普段よりもずっと甘いものだった。彼女はヒュースの腕の中にすっぽりと収まり、頭を優しく撫でられている。
その表情はどこか蕩けていて、頬もほんのり赤い。
ヒュースの首筋には彼女の吐息がかかり、彼はくすぐったさに身を震わせた。
「·····チタニア」
ヒュースはチタニアの名を呼んで、彼女をぎゅっと抱きしめる。チタニアもそれに応えるように、ヒュースの背に腕を回してぎゅっと抱きしめ返した。
そのままヒュースの胸にすり寄るようにして、チタニアは言う。
「ヒュース·····ワタシは今、とても幸せな気分だ」
「そうか」
「ふふ·····相変わらずキミは素直じゃないな。ワタシがキミを愛おしく思っているのと同じくらい、キミもワタシを愛してくれているんだろう?それくらい分かるよ」
「·····」
ヒュースは何も言わなかったが、それが肯定の意であることはチタニアにも伝わっていた。
·····彼は、照れ隠しをしているだけなのだと。
だからこそチタニアはくすりと笑い、ヒュースの角を指先で弄ぶ。
「ふふ·····本当にキミは可愛いなぁ」
「·····お前の方が、可愛らしいと思う」
「そうかい?」
「ああ」
「ふふ·····ありがとう、嬉しいよ」
チタニアはふわりと微笑んで、そのままチュッと軽く口付けた。
そしてヒュースの背中に回していた腕を離し、するりと彼の身体をなぞるように滑らせる。
「·····ヒュース」
「·····」
「·····愛しているよ」
「オレもだ」
「うん·····知ってる」
再び二人は、どちらからともなく口付けを交わした。
何度も何度も啄むような軽いものを繰り返し、段々と深いものに変わっていく。
チタニアはヒュースがしてくれたように、舌先を使ってちろりと唇を舐めた。するとヒュースは驚いた顔をしたが、すぐにチタニアの意図を理解して口を開けた。
「·····っ、は·····チタニア·····」
「はー·····はー·····キミとのキスは、満たされるから好きさ·····」
「ああ·····だが、オレはまだ足りない」
「あっ·····こら、もう·····」
ヒュースはチタニアの肩を掴むと、ベッドの上に押し倒した。
チタニアは少し呆れたような顔をしていたが、嫌がるような素振りはない。むしろ嬉しそうに笑みを浮かべ、ヒュースの顔に手を伸ばす。
「ふふっ·····いいとも、おいで」
そのままヒュースは自分の角が当たらないようにチタニアの胸元に顔を寄せた。チタニアはそんな彼の頭を優しく撫でながら、慈愛に満ちた声で囁く。
「よしよし·····今日はいっぱい甘えて良いんだよ?」
「·····」
「慣れない玄界で日々大変だろう·····ワタシはいつでもキミの味方だよ」
「·····チタニア」
「だからね、好きなだけ甘えるといい。ほら、遠慮しないで」
チタニアはそう言ってヒュースを抱き寄せ、自分の胸に押し付ける。
その柔らかさに一瞬戸惑ったが、彼はチタニアの背中に腕を回した。
そのままぎゅっと抱きしめると、チタニアもヒュースの頭を優しく撫でてくれる。
ヒュースはそのまま目を閉じ、チタニアの鼓動の音を聞きながら眠りについた。
「おやすみ、ヒュース·····大丈夫、ワタシはここにいるよ」
「·····」
「ずっとキミと一緒に居るから·····安心して眠るといい」
チタニアはヒュースの額にそっとキスをして、優しく抱きしめ続けた。
ヒュースはそれに答えようとチタニアの胸に顔を埋め、彼女の温もりを感じて心の底から安堵しながら意識を手放すのであった。
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