君が流したユメナミダ。


ぼくをみて


ぼくは・・・いらないの?

ぼくを、みてよ。

みてくれないならいっそのこと

ぼくをかくしてしまうよ。


だれかがぼくを、みつけてくれるまで。




バシッ!!

屋敷に響く、大きな音。

それは、父親が自分の子供の頬を、
思い切りひっぱたいた音だった。

「う・・・うぁ・・・」
「私の前に出る前は、仮面をつけろと言っただろう。お前の顔など見たくもない」
「ごめん、なさ・・・おと、さま・・・」

怒られた子供―詩優は、
顔を手で隠して、自分の部屋へ逃げていった。

「まったく、あいつが私の子供などとは信じられない。・・・醜い。」


「う、うぁ・・・」
「詩優?居るかしら?」
「おかあ、さま・・・」
「あらあら、そんなに泣いて・・・」
「おかあさま!」
「よしよし・・・詩優は男の子でしょ?そんなに泣いちゃ・・・ゲホッ、ゴホッ!!」
「おかあさま、むりしちゃだめ!」
「大丈夫よ・・・」
「おかあさま・・・」
「詩優。私がもし死んでしまっても・・・強く生きるのよ。」
「おかあさま、そんなこといわないで!」
「いいえ、そうはいかないのよ・・・。」
「おかあさま!」
「・・・この仮面をあげるわ。悲しいときはこの仮面をつけなさい。おまじないをこめてあるから」

詩優の母は、赤色と緑色の宝石がはまった仮面を差し出した。

「おかあさま・・・」
「私は、部屋に戻るわ・・・詩優、お父様に見つかる前に、その仮面をつけなさい」
「うん・・・」

辛かったけれど、幸せだった。

だけれどある日・・・詩優の幸せは粉々に砕け散った・・・。


「おかあさま!おかあさま!!」
「お坊ちゃま、お止めください!紗雪様はもうお亡くなりになられたんです!」
「おかあさま、ねむってるだけだよね?」
「いいえ、もう戻ってこないんですよ・・・」

そう乳母が言うと、父親は冷たい目で詩優を見て、こう言った。

「これで終わりだ」
「おわ、り・・・?」
「紗雪が居ない今、お前を養う筋合いなどない」
「え?」
「お前は今日で勘当だ」
「おとう、さま・・・?」
「もう「お父様」と呼ぶな」
「どういう、こと・・・・?」
「如月!明日そいつをおひさま園に連れて行け」
「はっ、はいっ!!」

ぼく・・・・いらなくなったの?


「お坊ちゃま、荷物はまとめられましたか?」
「きさらぎさん・・・ぼく、いらないこなんだね・・・」
「これも、運命です・・・」
「うんめい?うんめいのせいでぼくは、つらいおもいをしているの?」
「・・・はい・・・」
「そっか・・・」
「お坊ちゃま・・・」
「だいじょうぶだよ!ぼく・・・おかあさまからもらったかめんがあるから・・・」

そう言って、詩優は仮面を愛おしそうに抱きしめた。

・・・そして次の日。

「さよなら、きさらぎさん」
「お坊ちゃま、お元気で・・・」
「うん、ありがとう。」

そして詩優は、お日さま園に足を踏み入れた。

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