何十年越しの初恋
(ショタオロチに萌え死んだよ記念)
(昔話ネタ)
・・・昔、私が人間だったころ、
ある一人の男に仕えていたことがある。
茶葉の入った煙管をいつも吸っていたが煙の臭いは一切せず、
いつも、和菓子の甘い匂いを漂わせていた。
「なァ、オロチよ」
「・・・はい、なんでしょうか・・・茶通(ちゃつう)さま」
「お前さんはよ、来世って信じるかい?」
「来世、ですか?」
「ああ。・・・俺っちはよ、もう老い先短いジジイだかんな。」
「いいえ、茶通さまはまだお若いではありませんか。」
「ははは!俺っちにそう言ってくれんのはお前さんだけだよ、オロチ」
そう言うと、茶通は右手に持っていた煙管を左手に持ち替え、
空いた右手でオロチをわしゃわしゃと荒く、でも優しく撫でた。
「俺っちはよ、もし来世があるんなら蛇神の息子にでもなりてぇもんだ」
「蛇神・・・ですか?」
「ああそうさ。お前さんは蛇が好きだろう?」
「ええ、そうですが・・・」
「蛇神は蛇の化身なんだろ?蛇になれたらよ、お前さんに可愛がってもらえるじゃねえか」
「茶通さま・・・」
「あぁ、そうだな・・・もしそうなって蛇神の息子になれたら・・・」
「お前さんが俺っちを見つけられるよう、よく目立つ銀髪で生まれてきてやろうな。」
「蛇の時も見つけやすいように、白蛇になってお前の所へ行くよ」
それが、彼との最後の会話だった。
その次の日、レッドJが故郷を襲って
彼も、何もかもを壊してしまったからだ。
・・・死ぬまで私を守ってくれた、彼を。
そして妖怪となった私は、いろいろ経て蛇神である蛟さまに神使として仕える事となった。
・・・私が蛟様と出会ったその時、蛟様は子供を身籠っていた。
「オロチや」
「・・・はい、なんでしょうか?」
「わらわはもうすぐ子供を産む。お前にその子の守りをして欲しいのじゃ」
「守り・・・ですか?」
「・・・ああ。その子は小豆・・・人間との子でな、人間として育てるつもりじゃ」
「だが、蛇神と人間の息子・・・どのような妖怪に狙われるかわからぬ。」
「守りたいのは山々だが、わらわは神ゆえ、霊力を持たぬ人間にも姿が見えてしまう。故にわらわもこの姿では、人前には出れぬでな・・・」
「その子が自分で自分の身を守れるようになるまで・・・頼まれてはくれぬか?」
「・・・わかりました、蛟様」
そして数日後、その子供が生まれた。
「オロチ、わらわの子じゃ。どうか抱いてやっておくれ?」
「・・・恐れ、入ります」
おくるみからはみ出た白い蛇の尻尾。
オロチはその赤子の顔を見て、驚いたような顔をした。
「(茶通、さま・・・!)」
・・・なんとその赤子は、茶通と瓜二つだった。
そして、髪色は・・・オロチと約束した通り、「目立つ銀髪」。
「・・・きゃっきゃっ」
「む・・・」
“ようやく会えたな、オロチ”
オロチに向けた赤子のその明るい笑顔は、まるで茶通がそう言っているようで、
オロチの目からは涙があふれ出した。
「蛟、さま」
「どうした、オロチ・・・?」
「・・・この子の名前は、なんでしょうか・・・?」
「その子の名は・・・」
私は、昔あなたを助けられなかった。
だからこの世では、私がこの身に変えてもあなたを守りましょう。
「・・・ちまき・・・」
“お前さんは蛇が好きだろう?”
“蛇になれたらよ、お前さんに可愛がってもらえるじゃねえか”
これが、何十年も長い年月を経て叶う
何とも長い「初恋」の始まりでした。
何十年越しの初恋
やってしまった昔話!
「茶通」も「ちまき」も和菓子の名前です。
茶通さんはちまきの先祖で生まれ変わりってことだね。
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