はじまりの雨
「あーろーたーん」
黒い髪の毛をなびかせ、アリシアはアーロに近づく。
「ねぇ、あーろたん。もし俺が死んじゃったらね、どうする?」
「?」
アーロは分からないと言うように、
アリシアのお腹に、鼻をぐいぐい押し付けた。
「うくくっ、くすぐったいよあーろたん」
アーロの背中を撫でながら、アリシアは話し続ける。
「この時代にミルフィオーレが蔓延しちゃったせいで、俺はいつか死んじゃうかもしれない。」
「でもね、俺が死んじゃったらさ、ヴァリアーのみんなや、スクや、サフランが心配で・・・・さ・・・・」
アーロは今にも泣きそうなアリシアの顔に、鼻を宥める様に擦り付ける。
「そうだよね、あーろたん。嘆いていてもしょうがないよね。」
「でも、もし俺が死んじゃったらさ、スクの事よろしくね。あとサフランも、寂しがるかなぁ・・・・あーろたん、よろしくね。」
(きっと俺はずっと、愛しい人のそばには居られない様に出来ているんだ)
神サマ、どうか
愛しい人に愛を
愛しい仲間たちに神の加護を
ルッスーリアに3時のおやつに誘われた。
今日のおやつは甘ったるい・・・もといおいしいクッキー。
「ねぇ、ルッスーリア。」
「なぁに、アリシア?」
「とんでもないこと言うけどさ、俺さ、ヴァリアーのまま死ねたら嬉しいと思う。」
「・・・」
「それにもし死んで、棺桶に入るなら、ヴァリアー隊服のままがいい」
「まぁ、それはなぜ?」
「なんとなく思ったんだよ。ツナも死んじゃって、ボンゴレは壊滅状態。もしかしたら俺もそのうち死んじゃうかもしれない。」
「そんなの嫌だけどさ、ヴァリアーのまま死ねたら、どれだけ幸せだろう。って思ったんだよね。」
「まぁ、縁起でもない!大丈夫よ、アリシアは死なないわ。」
「分かんないよ?この髪の毛、スクに感化されてさ、願掛けで伸ばしてるんだけど、その願いはね」
私の命と引き換えでいいです。どうか、愛しい人と愛しい仲間は
俺より、1日でも、1秒でも長生きできるように。
愛する人が先に行くなんて
悲しすぎるだけだから
だったら
俺が先に行ってやる
今日はいろいろとおかしい。朝からヴァリアー邸に奇襲なんて。
「はぁ・・・どうなってんのよ、ヴァリアーのセキュリティ」
あとでボスに、セ○ムでも付けろと言おう。絶対言おう。とこぼしながら、
俺は日本刀を手に取り、鞘から刀を抜いた。
いつもならスクアーロも居るが、今日は長期任務で居ない。
「みんなを起こしちゃ悪いしね。サフランもまだ寝てるし。さっさと片付けるよ!」
〜そして1時間後〜
「ハァッ・・・ハァ・・・やった・・・?」
周りに人の気配も無く、ただ、屍が転がっているばかり。
隊服は、少し血が付いているが、まだ綺麗なまま。
(今だ!)
ドギュゥン・・・・
1つの銃音が響き、アリシアと刀を簡単に打ちぬいた。さっきまで綺麗だった隊服が、赤く染まった。
「っ・・・・・」
ドタッ。
アリシアは地面に倒れこんだ。
心臓を一発。
まだ生き残っていた奴に撃たれたのだ。
そいつはきっと、本部にでも報告しに行くのだろう、傷ついた足を庇いながら走っていった。
「あーあ。スクより先に死んじゃうのか。せめてもう少しスクと居たかったなぁ・・・。」
「まぁ、願掛けの代償かな?この未来が変わることがあるのかな?せめてそれが知りたかった。」
「ごめんねスク。もう時間みたい。意識が朦朧と・・・して・・・」
ゆっくり、ゆっくりとまぶたが下がる。
「頼んだよ・・・過去のツナと俺。」
「あ・・・はは・・・もう駄目だな。」
「ごめんねスク、愛して・・・る。世界の・・・誰よりも。」
そのまま、アリシアは動かなくなった。
愛していました。
だから、俺より
長く、長く生き延びて。
いつだって神サマは意地悪だ。
だって、俺を愛する人から引き離したのだから。
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