想いの勝利
「霧留さんも、染岡くんも目を覚まして!こんなのはおかしいって、君たちも気づいてるはずでしょ!?」
「おかしい?おかしいのはアンタらじゃないのかねェ」
「強さこそ、全てだろ?」
「エイリア石のすごさに気づかないアンタたちこそ、おかしいのさァ」
そう言って、二人はもとのポジションに戻った。
「二人とも・・・」
「何を言っても、無駄なようだな」
「・・・どうすれば・・・」
「勝つしかねえだろ!」
「雪女・・・」
「あいつらに勝って、分からせるしかない」
「全力で行くっス!」
「あぁ!」
そして試合再開。
ザ・フェニックスを撃とうとした3人だったが、
西垣のスピニングカットで阻まれてしまう。
「西垣、こっちだ!」
「あぁ!」
そしてボールが風丸に渡り、柚流へ回った!
「ただ潰れていくものを見るほど、楽しいことは無いよねェ」
「柚流、こっちだ!」
「あいよッ!」
ゴール前のカゲトがボールを受け取り、
そしてそのままダークトルネードを撃つ!
綱海と小暮が止めに入るが、
その威力に吹き飛ばされ、立向居とともにゴールへ・・・
そして先取点を取られてしまった。
「アハハッ、ざまあないねェ!」
「ぐ・・・」
「立向居!綱海!小暮!」
その時、綱海がこう叫んだ。
「柚流、思い出せよ!!お前はそんな奴じゃないはずだ!!」
「アンタ、まだアタシの中の柚流にご執心かい?ご苦労なこったァ!」
そう言い放つと、柚流はまた胸を抱えて苦しみだした。
「ッ・・・グ・・・まだ、統合しないのかァアっ!!」
《あんたなんか消えなさいよ!ミーはこんなものなんか・・・いらないッ!!》
そう言うと、首からエイリア石のついたペンダントを引きちぎった。
引きちぎったときに擦ったのか、わずかに血がにじむ。
「・・・あ・・・」
《ミーは条介のもとに帰りたい、ただそれだけなの!力なんかいらない!!》
「や・・やめろおおッ!!」
もう一人の柚流は、ペンダントを必死でまた自分の首にかけようとするが、
本当の柚流の人格が勝ったのか、ペンダントをさらに遠くに投げ捨てた。
「・・・え、エイリア石があああッ!!」
《ミーの勝ち、だよ・・・ッ》
そして、柚流はその場に倒れこむ。
「・・・チッ、これだから女は・・・」
「どう致しますか」
「もう一度エイリア石を付けて、ベンチにでも寝かせておきなさい。彼女はまだ利用価値がある」
研崎は舌打ちして、こう言い放った。
命令を受けたキラーエージェントは、ぐったりとした柚流を抱えて、ベンチに乱暴に寝かせた。
「柚流・・・ッ!」
「綱海、絶対に柚流やみんなを救うぞ!」
「・・・もちろんだ!」
しかしダークエンペラーズの猛攻は止まらず、
進化したワイバーンクラッシュで2点目を取られてしまう。
「なんてこった・・・」
「・・・これは、すごく危ない状況ですよ」
そして、また風丸が上がっていく!
「行かせねえ!!アイスバーン!!」
そう叫んだ瞬間、雪女の周りの地面が音を立てて凍る。
「・・・ぬるいな」
だが風丸は氷の上でも滑らず、
素早く雪女を抜き去った。
「なッ!?」
「半田!」
そしてボールは半田に渡り、
マックスとの連携技、レボリューションVを撃った!
「立向居が危ない!」
雪女はアイスバーンの体制を建て直し、
ゴールへ向かって急いで走った。
が、その威力とスピードはものすごいもので、
雪女がゴールにつく前に、ボールは立向居のもとへ!
ムゲン・ザ・ハンドも効かず、弾き飛ばされ、
そのままゴールに!?と思ったが、
間一髪、円堂がボールをヘディングではじいたため、
失点は防がれた。
そしてそこで、前半終了のホイッスルが鳴った・・・。
そしてハーフタイム。
胸の痛みがひどくなってきたため、
俺はユニフォームの襟を引っ張ってみた。
「!!」
「ひどい・・・!」
胸元は真っ赤になっていて、
あと数時間もすれば、青たんになるだろうという状態だった。
あのシュートがどれだけ強いシュートなのか、
この痕を見ればわかる。
「(・・・ひどい打ち身だな、例え今すぐ湿布を貼っても、青くなるのは避けられないな)」
「雪女くん、湿布いる?気休めかもしれないけど・・・」
「すまないな秋ちゃん、頼むよ」
「うん、取ってくるね」
「あぁ」
そう言って、俺は襟から指を離した。
「(・・・)」
「・・・雪女」
「士郎?」
「大丈夫?」
「あぁ。こんなもん、湿布貼ってりゃ治るよ。青くなるのは避けられないだろーけどな」
「・・・」
「そんな悲しそうな顔すんなって。俺は大丈夫だよ」
「そう?」
「あぁ。だから今は、試合に集中しようぜ」
「・・・うん。」
そんな話を士郎としていると、湿布を持った秋ちゃんが戻ってきた。
が、ユニフォームを持ったまま貼るのは難しくて、
なかなか貼る位置が定まらない。
「自分じゃちょっと貼りにくいなー・・・」
「あ、じゃあ私が貼ろうか?」
「すまねぇ、頼むよ」
「うん。」
秋ちゃんは優しい手つきで、手早く湿布を貼ってくれた。
「うっ、冷てぇ・・・」
「我慢、我慢。」
「・・・じゃあ次も、俺がDFをつとめねぇとな」
「本当に大丈夫?」
「仕方ねぇよ。ベンチにいる奴は全員FWだからさ」
そう言って、雪女は苦笑いした。
「雪女くん、本当に無茶してない?」
「してねぇよ。心配ありがとな、秋ちゃん」
そう言って、雪女は円堂たちのもとへ戻った。
「(本当に、そうなの?)」
秋は自分の手をギュっ、と胸元で握った。
「士郎、頼みがあるんだ。」
「雪女・・・?」
「後半、俺と―・・・」
「えっ!?」
「・・・頼む、士郎。」
「ちょっと、無茶なんじゃ?」
「今の俺達なら、きっとできる!」
「・・・」
「頼むよ、士郎・・・。」
「・・・わかったよ。やってみる価値はある。」
「ありがとう、士郎!」
「・・・なあに、君のためだからね」
「じゃあやり方を言うぜ。まずは―」
そして、後半が始まった。
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